003話 何だってゴブリンの群れが来るんだよ?
大きく入口が開いた危険性を未だ俺は考える事も為ず。呑気に暮らして居た……
スライム達との会話が楽しくて、持って来た品々を頬張りながら(イメージです)俺は色々と習性を聞き出したり、俺は何だと思う?などと質問したりした。
体型を変形させて、俺のイメージ通りにスライム達が口を作り出すと、涙型体型の天辺に口が生えた様な格好で「創造主様、此れで宜しいのですか?」可なり微妙?いや、正直に敢えて言おう……気色悪いな「残念です」
やや悔しそうなスライムが、そんな風に言うと俺は強めに【俺の伝えるイメージが悪かったんだよ、その内に何とか成るさ】「はい創造主様、嬉しゅう御座います」只まぁあれだな、此れで会話している気分に成れるかな?少しキモいけど……
然ればと……涙型の真ん中辺りに横線が入り、パペットの様な動きで話し出す。
「此れで如何でしょうか」此れなら違和感がマシに成ったよ、その内に目や手足が生えれば大丈夫かな?「努力致します」レッドスネ~ク、カモォ~ンだな……
それにしても此奴らの声帯はどう言うもの何だろうか……いや、生まれたばかりのスライムでも「ピッ♪」位は言っているから、自在に声帯擬きを作り出して居るのかも?なのだが、どうして言葉の概念が伝わって居るんだ?分からん……
聞いて見るか……お前達と会話が出来て、伝わるのは嬉しい、だがどうして言葉の概念が、お前達に在るんだよ?「それは我らが選ばれた創造主様から、生んで頂いたからで御座います。何故かそんな知識が我らには初めから御座います」
人間としての意識がお前に存在するのか?「いえ、知識の記憶だけで御座います」
おや?ヤバイ!?ヒョッとし此奴ら俺よりも賢いんじゃねえのか?いや、屹度気の所為だ!そうに違いない!いや、そう有るべきだ。俺はチョット密かに動揺した……
俺は動揺を見透かされては成らじと、何食わぬ顔をして話を続けた(顔無いけど)
他はどう何だ?同じ種族同士なら意思の伝達ぐらいはしているのだろう?蟻の様にさ?やや何を聞かれているのか解せぬ様子ながら「然ればで御座いますが、余所の同族とは全く意思が通じませんでした」「行き成り襲われたわよね」「だな……」
余所のスライムと遭遇したのか?「はい、そこで我らは吸収する事にしましたが、我らの弟妹よりも意思が薄弱で、更に本能が強く疎通までには至りませんでした」
成る程な……俺が持って居るこの知識が、チャンと生み出したお前達へと伝わって居るので、会話が成り立つんだな?「推測の域が出ませぬが、然様な事かと思われます。或いは創造主様との繋がりで、知識を分けて頂いているとも考えられます。遠くに出掛けた時には、何故か色々な事がどうでも良く成りましたから……」
他の者はどう何だ?「行方不明に成ったホラあの子、何だか急にぼーっ?として、何処かに行って仕舞ったわよね」「そんな感じだったぜ」「ウンウン」
それは色々と危険だな、そんな場合には俺の影響範囲内に直ぐ戻る様にな「はい、畏まりました。一同の者、然様に心得よ!」「はい兄上様」「了解だ兄貴」「ウンウン」何だか個性の在る返事が返ってきた。
気にしていなかったが、確か最初は七体ほど此の大きさのスライムを外に出したんだが、今は四体だよな……折角育てたのに居なく成るのは、気持ち的に俺は微妙?いや、スッカリ忘れていたけど……
同じ様な場所に進出して、行方不明に成った奴と戻って来た奴の間には、個体差があるのかもな?外の状況は同族種を含めて危険が多そうだし、敵もウヨウヨ居るのだろう……オッと考え込んでいないで話しを聞こう。
「確かに創造主様のお近くに居れば、頭の方はスッキリとして、気持が宜しゅう御座います。迷宮内ならば、然程代わり映えも致しませぬが、外では遠くに行くほど自分が何者かが曖昧に成ります。無論間近にいる今の状態がベストな感じです」
近くだとぉ~?此の中で俺の近くと言う場所が在るのか?お前達には自然に理解の方が出来ると言うのか?「然れば此の場所全てで創造主様を感じられますが、特に此の場所が出来てからは、寄り強く創造主様のお力を感じられて、我らも更に強く賢くなった様に思われます」
俺の近くに居れば頭脳が活性化されるのか……生き残る為には知恵が必須だ。他の奴らはどうやらバカかぁ?まあその個体が、拠点から離れているから、と言う事も考えられるのだがな……
最初頃にここから出て行った奴や敢えて小さな個体でも、命令して出て行った奴は半分も帰って来なかった。食われたのかとも思って居たが、今後はその事も含めて或る程度シッカリした個体に動いて貰おう……
だがそんな話しなら、俺は他の者達は恐れるに及ばないな、お前達が強く成れば、群れを成して最強の攻め手と、守り手に成るからな「然様で御座いますな、そして創造主様が強く成れば、相対的に我らも又強く成ります」
矛盾する話しでは無く、俺はその両方を手に入れたんだ。最強の楯と鉾をな♪俺は最強だぁ――――――――!などと思って居た時期が、俺にもありました。
気に成った事は、俺の近くに居れば、頭脳が活性化すると言う話しだな、此奴らの頭脳?ってどこに在るんだよ……まあ良いや、そこを考えるのは後だ。
話を戻してもし俺の影響ならば、俺自身が姿を変えて独り言を此奴らと行っているだけなのか?違う……違うぞ俺、実際外の情報をもたらしてくれたのじゃ無いか、形を変えた独り言を此奴ら相手に言い合っている訳では無いんだ。
屹度此奴らのレベルが上がれば、そんな事を一切気にしないで、普通に付き合っていけるんじゃ無いのか?多分出来る筈だと考えておきたい……俺は一人ボッチじゃ無い、絶対ボッチじゃ無いと言ったら無いんだ!俺は……ボッチじゃ無い……俺は何時までもそんな事を考えた。
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食い散らかして種をペッペと飛ばし、何となく力を込めて種を育てているといつの間にかもうジャングル?林から森へと変遷して、今は鬱蒼とした場所へと見た目も変わって仕舞った。
スライムも俺の真似して彼方此方で種をペッペと飛ばす物だから、広範囲の場所が既にジャングル化していたが、俺が拡張すれば林ほどの間隔に戻り、現在は森との間だ。もうこの際ここを森林エリアとでも呼ぶ事にしよう……
足元には薬草や毒草、キノコも彼方此方に生えて、上を見れば明るかった場所が、暗く成っている……ン?ここが明るかった?だとぉ……真逆?確か真っ暗な洞窟、だったよねここ……
良く見れば天井や壁に苔が繁っている……それが光って居るのか……ヒョッとしてスライム達に引っ付いて、此処に運ばれた?そう言えば若干力が奪われて居る様な気がするぞ……
俺は何となく力を遮断する様に念じると、忽ち辺りは暗くなり元の何も見えない、とは言っても俺達には関係無いのだが、戦術的に此の暗さは役に立つ……だが気分的には明るい方が良いので、力をやや解放すると、少しだけ明るく成った。
因みに長く俺の力を遮断していると、その部分の苔は力を失い茶色く枯れる……
俺は暫くの間、力を強くしたり弱めて態と止めたりして、調整が出来る照明器具を子供が玩具にして遊んで居る感じで見ていたが、強める度に苔の密集場所が増えて明るく成ると、木々も野草もスクスクと育つのを発見した。
出入口が拡がって、何となく力も増している感じがするし、調子に乗って俺は益々木々や野草を育ってると、アッ!と言う間に此処はジャングル、森エリアへとその姿を変えた。心なしか天井も木の成長に合わせて高く成っている様な気がする……何だか場所も拡がっている様な……いや、気にしたら負けだ。
俺は考えた「お頭侵入者でさぁ」な、何だとぉ~!「どうしやすんで?」お前達、歓迎してやれ「へい、畏まりやんしたぜ」などと木々から飛び降り、侵入者を不意打ちで、スライム忍者や盗賊が、アッ!と言う間に片付ける光景を想像して、此はアリだな……グフ♪グフフフ、最強じゃねぇ俺、無敵だよ無敵、などと考えて居た時期が、俺にもありました。
妄想やらスライム達との会話が楽しくて、俺は外の警戒をスッカリ忘れていた。
突然滑り込んできた人型、出入り口まで勾配を付けて、スライム達が出入りし易い様に改造していたが、相手の方が滑り降りてきた。
立ち上がると徐に、我らのスライム軍団を見下ろして、まるで大巨人が襲来した感じだった。
大巨人立つ!俺の秘密基地を破壊に来た悪魔の存在、そんな風に俺には思えた……
俺は勘違いをしていた。
草や木々の生長に伴い、その対比でスライムの大きさが理解出来たのだ。
最初は俺がこぶし大などと思っていた個体は、更に小さかったのだ。
俺がエース級の個体だと思っていた四体も人の頭程で、子犬などと大きさは変わらないのだ。
そうして考えながら見ると、大巨人は、1メートリ(メートル)と少し程度だが、其奴らは睥睨しながら「グギャ?」次々と滑り降りて合計五匹が「グギャグギャ」「グギャァー」「グギャ」「グギャ~ン♡」何かの会話?をしている……
そして最初の一匹が屈み込んで、足元の小さなスライムを掴み取ると、有ろう事か口に放り込み、クチャクチャと咀嚼し始めた「グギャー!」その一匹が吠えると、他の四匹も喜んで次々と俺のスライム達を襲いだしたのだ。
スライム達は「ヒ!ピー!〔キャーみんな逃げてぇー〕」「ピピー〔何だ此奴らは伝説の巨人かぁ~!〕」「ピー〔いや違うわ〕ピピピン、ピー〔ゴブリンよー〕」忽ち大混乱に陥り、パニック状態だった。
そう……俺は大変な間違いを犯した。何が最強だぁ――――――――だ!何が無敵だよ無敵だだ!よく考えなくても此奴らスライムは、最弱の存在だったよ……
だがここで諦める事は出来無い、俺は命令して【成るべく合体して木の上から不意打ちしろ!】俺が命じる前に大型(実は小振りの通常サイズ)1号は、早くも木に登り敵の死角からゴブリンの顔目掛けて、ポチャリと飛び降りた。
顔の全面を覆う1号は、ゴブリンの呼吸を困難にさせて、徐々に首まで到達すると締め始めた。俺はそれを見て【1号に見倣い力を合わせて、みんなで戦えー!】
慣れたルーチンワークを熟している感じで、他のみんなもゴブリンを窒息死させているのを見て、俺は此奴ら外でもこんな事をして、必死に戦ってきたんだよな……俺は涙無しでは(イメージ表現です)見て居られなかった。
感謝の気持ちも無く、こんな洞窟に引き籠もり、俺は只命令するだけで王様気分に浸っていたんだ。そんな事は許されるはずも無い、俺は引き籠もりじゃ無いんだ!いや実際には、強制的に究極の引き籠もりしてるけど……
俺は涙しながら此奴らに戦い方を……強い力を……森の様な戦いやすい環境を与え作らねば、此奴らの恩義に対して申し訳無いぞ俺、早く何が出来て出来無いのか、力の把握に努めて、共に本当の意味での王国を打ち立てねば成るまい……
などと反省している間にゴブ共は窒息死して、ゴブリナ(ゴブリンの女性個体)を俺の祭壇に奉納した。分かっているじゃ無いかグフフ、男はいらん化け物でも女だ女♪そして他の四匹をスライム達は、嬉しそうに食べている姿が俺の目に映った。
どうやら美醜の感覚がもう違う物か?ゴブリンが恐ろしいとは思っても、醜いとはそれ程感じ無かった。
因みに彼奴らの食べ残しも、俺は後で美味しく頂きました。ご馳走様でした……
なぁむ~う……俺は合掌(イメージ表現です)してゴブ共を弔うと、ン?アレ何で俺こんな事をしているんだ?人型だったからなのかも?確か昔にお祖母ちゃんが、生き物を頂いたのなら手を合わせて弔いなさい、チャンと頂きますとお願いして、決して粗末に為ず、感謝の気持ちを忘れずにいなさいと……
何て事を言ってた様な、無い様な……只何となく、俺はこうしなければ成らないと考えて、美味しく頂いた後に弔った。ご馳走様でしたと……
ふと見ると、スライム達も神妙に並んで、祭壇前で額ずいている様な感じだった。
まぁそんな気がしただけなのだが俺は気を取り直して、外の監視を始めると何故か覗き込んでいたゴブと目が合った様な気がした。
な!なな、何だとぉ~!此奴らゴブ共は未だ居やがった……先程の五匹は先遣部隊だった。俺は慌てて迎撃の態勢を取る様に命じて、相手の動きを注視したのだが、一行に入って来る様子が無い……
少し落ち着いて考えながら観察する事にしたが、よく見えないのだ……俺は何とか入口の縁を上げたり下げたりしながら、見える様に角度を変えてみた。因みに力がそのたんびにゴッソリと抜けて、フ!と気絶しそうに成ったが俺は頑張った。
そこには数体、未だゴブリンとゴブリナが待機していて、その中の一際大きな個体は、頭一つ分高かった。オイオイ、こんな奴も居るのか……取り合えずその一体を俺はボスゴブリンと命名したが、ゴブリナの胸を揉んで、部下達がもたらす果実を待って居る様子だった。
俺は再び考えた……此の儘中で迎撃態勢を取りながら引き籠もり、籠城しても良いのだが、外の情報も知りたいし、飢えも満たさねば成らない筈だと……
何でもかんでもバカスカ食い過ぎたのだ俺の愚か者、籠城のためにも今後は備蓄も必要だな……
だがその点で言えば、草や木々の生長で果実も実って、他にキノコも今は豊富だ。
何とか成る……何とか成るぞ俺♪ヤハリ俺は先見の明があるぜウフ♪俺偉い!俺は軍師!俺は現代の今諸葛!などと喜んでいた時期が俺にもありました。
外から物資を持ち込んで居た頃に比べれば、今はジリ貧じゃね?バカだな俺は……実際、木々の生長や洞窟、森林エリアの拡張スピードが低下していた。
スライム達や俺の飢えは何とか出来ても、増える人口に対しての手当が不足だ。
だが外に出れば不利な状況下で、俺の可愛いスライムが苦戦するのは必定、いや、苦戦だけなら未だ良い、全滅したら目も当てられないぞ、俺は包囲されていた事に気が付き、改めて戦慄するのだった。
此処まで読んで楽しかった。何じゃこりゃ変な物語。駄作しょ。
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厚かましくも評価を頂けたら、最高に幸せな作者で御座います。
次回の更新予定日は、04月02日の午後5時に投稿致します。
俺様偉い!の足跡……(迷宮内の理)
中にいる生物を支配出来る事が判明した。何れ他の生物も支配出来るかも?
生物を自在に生み出したり、中で生物などを育てたり出来る事が判明した。
部屋、空間などの模様替えが、任意で可能なのかも?現在考察中である……
迷宮内で意思疎通が出来る生物は、或る程度の知識を分けている事が判明した。