001話 俺は虫が嫌い何だって知ってるか?
憐れな状況に成った主人公だが、何となく生き抜く姿を笑ってお楽しみ下さい。
作中、何度もあり得ねぇ~と考えさせられる表現が御座いますが、本作品はそんな読者の想像力に依存する物であります……
或る日気が付いたら目の前を軟体生物が蠢いていた。俺の感覚が可笑しいのか……ここはどこ何だよ……頭がスッキリしない様な考えが纏まらない様な……
暗くて狭い部屋?いや、ここは洞窟なのかも?俺の目線は見上げているのか?下を見たいぞ?突然目線が上方から見下ろす角度に変わり、良く目を凝らして見た。
真っ暗闇なのに何だか良く見えるぞ?俺はどうしたんだよ、足元を俯瞰して見ると「何だ此の気持悪い生物は?ヤケにユックリと動いているよな……」呟いたが声が此の中で響く事が無く、それ以降は諦めて俺は思考するだけだった。
こぶし大の水性生物なのか?クラゲの様な違う様な、何だろう?手で触ろうとしたのだが「何故手が動かないんだ?身体は?それよりも足が無い?いや、手も顔すら何もかもが無いぞ……何だ此れ?なんじゃこりゃ――――!?
人と同じ様な感覚で見えたりしているんじゃねえぞ?だったら何で分かるんだよ?身体はどこだ?俺はどうしたんだよ……誰か……誰か頼むから俺に教えてくれ……
暫く放心していたが【そうだ!先ずは落ち着け俺、落ち着くんだ……今見えている事や現状の確認をしよう……身体の事は不安だらけだが、先ず先程見えていた軟体生物を良く見るんだぞ俺……】
その様に考えると、全体を俯瞰した目線に切り替わり、上下左右に前後までが理解出来たが【何此れ……気持悪い……何だか目が回る……】俺は処理しきれなくて、慣れる迄は目線を切り替える事にした。
上から見たり、下からの視線に戻して見上げると【此はヒョッしてあの有名な想像上の生物、スライム?なのか……】落ち着いて見ると小さな蠢く生物が【お互いに食い合っている?な!なな、何て奴らだ!?】
やや大きめの個体が触手を伸ばして、小さな個体を次々と捕食してるのが見えると【何だってこんな共食いを此奴らはしているんだよ……】小さな個体も捕食すれば忽ち大きく成り、俺の目の前で五割増しほどの大きさに成長した。
俺は余りの気持ち悪さに「もう、共食いは止めろ!」などと思わず叫んで見るが、当然ながら声は出ない……
もう何とか俺は、お願いする様な気持で【みんな兎に角仲良くしようよ】呟く様な感覚だが強く考えると、何故か全てのスライムが動きを止めた。
驚いた!何て言うもんじゃ無いぞ?一体何が起こったんだ?此の狭い空間が段々と息苦しいように俺は思えて【外の空気が吸いたい】などと軽く考えると「グラリ、グラリ、ボコボコ」と音を立てて外への出口が細いながらも開くと、俺は口を穴の中に突っ込んで、思いっ切りスーハーと外の空気を吸い込んだ。
何かの力がゴッソリと抜けて、地中に埋まった息苦しい状態から僅かに外への道が開けた様な……開放的な思いが俺の中で満ちあふれた。
立て続けに外の空気を取り込むと一瞬クラリと来て、身体が震えたような?身体?何だ?と少し考えたが、その後は心地も良く、エネルギーか?何か理解不能な力が注がれて、俺は生き返るような思いだった。
実際の行動は外へ通じる穴を開けた以外には、現実に俺は何もしていない……此れ迄の話しは、俺の中でのイメージ的な事を言語化しただけだった……どうやら俺はこの空間?真逆な……だがこの狭い部屋そのものなのかも知れない。
そう思って感じてみれば、部屋の大きさも十坪(33平米、大凡畳み20枚ほど)高さは、3メートリ(メートル)程で、部屋の形もやや歪な四角い感じだった。
そう考えれば、全ての辻褄が合う……此の空間全てが俺で、異物の方が此の生物、スライム達なのだ。今はもう否定などしない……最初から【もしかして?】などと考えていたが、敢えて深く考えない様に無視して今に至る……
空想の小説、ラノベなどに良く出て来る題材だが、真逆そんな体験を此の俺がする訳が無い【何かの間違いだ。屹度夢に違いないから、覚めれば何だ馬鹿馬鹿しいと成る筈だ】とまあそんな事を考えていた時期が、俺にもありました。
だが俺はもう否定しない、何故と問うか?それすら分からない……俺は誰だ?元は一体何だったんだっけ?それすら分からない……此からどうするのか?俺が教えて欲しい程だが、本能的にこの状態を受け入れて仕舞っている……解せぬ。
今の状況?幾ら考えても原因や何故こうなったのかの、その切っ掛けすらも、俺は全く思い出せないんだ。
不思議な事に或る程度の知識と、突発的に思い出す断片的な記憶は在るのだが……それを意識して思い出せない状態なのが、妙に恐ろしく感じて不安に成った。
こんな場合なら俺が死んだ後、運良く転生したか?何らかの力が働いて転移したのか?のパターンだが、俺は天使や女神、況してや神や悪魔などにも会っていないんだぞぉ―――――――――と、俺は言いたい……
ドジで綺麗なエロい女神のミスで申し訳無く思った上司の神様が【いや済まんね、元に戻す事は出来無いが、此方のミスだから他の世界で楽しく暮らせる様に、何かスキルを上げちゃおう】何て軽く言われながら渋々転生した先でチートなスキルを駆使して物語の主人公をする……と言うのが定番なのだが、何一つ無かったよな?ヒントくらい在っても良い様なもの何だが……
良く思い出せ俺、俺は人間だった?様な気がするが、もう自信が無い……だったら動物?昆虫?植物だった?オイオイ、俺は何だったんだよぉ―――――――――?もう考えるの、止めとこかな……
あーもう参った!降参だ!誰か……誰か……頼むから此の俺に教えて欲しい……
いや、今はそんな悠長な事を言っている場合では無い、考える事を止めれば何かが終わる……どうせ身体も無いし動けない、ならば俺のする事は一つだ!此の状況の打開策を考え続けるんだ!などと言いながらも半分現実逃避した。
それから数時間後……外の空気を吸いながら、ぬぼぉーと考えていると、大きめのスライム個体が穴を通って外に出た。俺は思わず【行ってらっしゃい】などと声を掛けたら「ピュイ?」と何故か返事をくれた気がして【早く帰って来るんだぞ】と告げると「ピュイピュイ」想像だが嬉しそうに返事をしてくれた。
まあそんな気がしただけで、俺の自己満足なのだが【俺もあんな風に外に出たい】などと漠然と考えていた。其処へ彼奴らがやって来た……
穴の外から覗いていた複眼、触覚をフリフリ穴の中を窺い、子犬位の蟻が大勢俺の中に入って来た。最初の一匹が通過すると、有ろう事か先住民のスライム達を食い散らかして、蟻共は次々とスライムの虐殺を始めた。
一匹一匹がこぶし大、無数に居るとは言え、大きな個体の数は知れている……俺は少々後悔した。あの時止めて居なければ、もう少し戦える個体が増えて居たんじゃ無いかと……スライム達はこの事を知って居て、強く成るために弱肉強食の定めに従って居たんだと……
俺は彼らに思わず最初は【駄目よ危ないわ、お願い逃げて~!】何故か守られ役のヒロインのように、主役のスライムを応援する少女のような気持に成って居たが、虐殺はもう止まらない……
俺は思わず【この野郎!未だ数時間とは言え、俺の中で一緒に育ったスライム達に何しやがる、痛い目にあわせてやるぜ】などと言っては見ても、俺自身は何も出来ないのだ。だがしかし、俺の思いが通じたのかスライム達が次々と合体して果敢に反撃を開始、一部を除いてスライム達の腹の中に収まった。
そして残りは地中に呑み込まれて消えたその時、俺はえも言われぬ幸福感と、それ迄に在った空腹感が、徐々に収まって行く気がして【スライムの食べ残しが、俺の中で消化したのか?】感覚的に言えば真にその通りで、殻も残さずに消滅している事が感じられたのだ。
そして暫くしてスライム達がプルプルと震えると、何故だか俺に迄、力が注がれた様な感覚が襲い、一段階上の存在に此の俺が昇華した様に思えた。
何かファンファーレが鳴って天の声が……神の声が?て……女神も何も無しなの?
シーン……全く何の音も聞こえて来ない、何かの知らせが俺に届き、レベルアップお目出度う♪何て言う事も無く、俺の力が増したことは感じて居ても、それが一体何だと言うのだ!と、そんな思いで一杯だった。何かアクション無いのかよ……
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そんな事を考えて居ると、先程外に出て行った個体が二回り程大きく成って帰って来た。俺は思わず【よ!お帰り】などと心の中で声を掛けると「ピュイピュイ」と返事をして何やら身体からバシバシと物を打ち出し、その傍迷惑な行為にもうスライムが大慌てで逃げ惑う……
何だ此奴は……外に出て不良に成ったのか?弟妹達を苛めるなんて許せない奴だぜ【止めろ、止めるんだ!其処に、な・お・れー!】ピタっと攻撃が止んで、入口に静止した外帰りの不良スライムと、逃げ惑っていたスライム達が、命令通りに気を付けしている様な感覚がして、何となく俺は唐突に理解した。
ヒョッとして此奴らは、俺の考えて居る事が理解出来るのか?信じられないが物は試しだ【休め!】涙目型の体型からもんじゃの如く拡がると、俺は此の状態がスライム達の休め!状態なのだと確信した。
その後、俺は整列させたり、行進させたり、合体や分離を命じたりして、スライム達の行動を見守った。そんな事を繰り返す内に、全体の強さが均一化されて、トコトン弱い個体が居なく成った。
此奴らは個である時には意思も薄弱で弱いが、群体としてはそこそこの強さを発揮した。何故分かるのかだって?その後何度も色々な生物に襲撃されたからだ。
此奴らは個であり、集合体なのか?などと考えて、俺は色々と試す気に成った。
更に合体をさせて、強力な個体を作り出した時「ピュイ?〔創造主様、次はなんでしょうか?〕」などと意思を何らかの方法で伝えてきたのだ。
俺には何となく分かる……あの不良君が話しをして、そして返事をしてきたのだ。
俺は驚いたが強く成れば、もしかして個性を持つのかよ?などと感心して、次々と命じて七体の大きな個体を生み出した【最初に外に出たのは誰だよ?】「ピュイィ〔私めで御座います〕」此方に通じる言葉使いで返事が帰って来たが、個体同士で話して居ると、俺は全く理解が出来無い状態だ。
話しを聞いていると「ピー〔アナタきれい〕」「ピピッピー〔アナタこそ〕などと言っているのかも知れないが、それよりも先程の態度(攻撃)が気に成り【お前、何で皆を攻撃したんだよ?】「ピュイ、ピュイ、ピッピ-〔外で植物を食べた種を吐き出しただけで、攻撃ではありません。ご覧下さい創造主様、種は仲間が食べております〕」相変わらず流暢な話し方で、俺にチャンと伝わった。
俺は、そうか、なら良いと返事をしたが、外の世界の植物か……俺も食べてみたい物だな、一度命じて採取させてみようかな?などと考えて【おい、さっきのお前】「ピー〔何で御座いましょうか創造主様〕」【創造主様?それに何で、ピー!だけなのに台詞が多いんだよ……まあ考えたら負けだな】
さっきも気に成ったが、俺の呼び名などどうでも良いかと思い【何体かで再び外に出て、何か食べる物を探して来てくれよ】「ピピー!〔畏まりました創造主様〕」三体ほどが付いて行き、ズリズリと狭い穴から出て行った。
俺はこんな状態で、精神的には極限状態だったが、元に成った人格?馬鹿なのか?性格の方が大らかだったらしく【奴ら早く帰って来ないかなぁ……】などと呑気に考えて居ると、再び侵入者が現れた。
ザワザワと這いずる多脚、ウネウネとくねらせて進む姿は百足その物で、俺のスライム達に襲い掛かる……慌てた俺は【お前ら全員で、ボコれ!】などと命じると、スライム達はムカデに全面攻撃を開始した。
大きく成った個体三匹が中心と成って足止めをすると、無数の小さなスライムが、全体を覆うようにして身体を溶かしていく、暫くして絶命すると、ムカデの身体は一部を残してスライム達が、自らの栄養に変えるために消化し始めた。
残った部分は、俺の取り分だと許りに残して居ると、何時の間にか地中にムカデの身体が取り込まれて、蟻と同様に俺の中で力へと変換された事が理解出来た。
好き嫌いは駄目だと、昔誰かに諭された憶えがあるが【何だって……何だって此の俺が虫なんかを……俺はなぁ……俺は虫が嫌い何だって、お前ら知ってたか?知ら無いだろうな……】涙目で(イメージです)心から俺が訴えたが、最初のスライム以外では、意思疎通の方が微妙だった。
その後に現れたのは蜘蛛や蛇、蜥蜴などの爬虫類や蚊などの昆虫、そのどれも此れもが異形で大きく、馴染みの無い個体が多かった。最初頃とは違い向こうも団体で来るように成っていた……
俺は何となく記憶と照らし合わせて【ここは俺が元居た世界じゃ無い、そんな気がするな……】などと考えていた。
侵入者を撃退する度に、スライム達は強く成り、俺にも何らかの力が次第に増えて行く、俺は此の力を溜めれば【何れ何らかの事が出来て、それが始まりに成る!】などと漠然と俺は勝手に考えていた。
と言うのも、此の洞窟が徐々に大きさを増して、時間毎に広く成って居るからだ。
最初は気が付かなかったが、スライムもいつの間にかに増えて、こぶし大の個体が彷徨き始めた。再び生存競争を始めたが【争うよりも合体してくれ、主に俺の精神安定のためにな】
一度理解すると、俺も共食いよりは、合体の方が遥かに良いと考えていた。
しかし此奴ら、何処まで増えるんだよ、折角洞窟が拡張したのに又狭く成った。
しかも一度開いた洞窟の出口から、次々と敵が侵入して来るのだ。
救いは統制の取れた俺のスライム達が案外強く、その全てを大した被害も無く撃退して行った事だ【又拡張したな……】ぬぼーと考えながら感想を口にした。
いつの間にか拡張して、スライム達が生まれるのだが、その生まれる場所は、何も無い空間からポコ!っと出る場合と、天井や土の中から、よっこらしょと出て来る2パターンを発見した。
防衛のために何体か大きな奴を残したが、大勢のスライム達を遊ばせているのも、何故か勿体ないと考えて外に出す【防衛のためか……何で俺はこんなにここを防衛しなくては成らない、などと考えているんだ?】だが生存本能のなせる業なのか?しかし俺は、何故か確信して必須の行いだと理解していた。
其処へ先に出したスライム達が、更に大きく成って帰って来た。俺は【お帰り】と迎え入れたのだった。
作担当のスラロームです。口の悪い友人から飲んだ時には、何時も右にふらふら、左にふらりと千鳥足が定番で、酔拳の達人だとも昔は言われて居ましたが、最近は飲めば毎度転けているスラ君です。
業務連絡としては、本日中に二話程を投稿します。
その後はストックが続く限り、毎日午後五時です。
俺様偉い!の足跡……(迷宮内の理)
中にいる生物を支配が出来る事が判明した。何れ他の生物も支配出来るかも?
長さは地球基準でメートル表記はメートリと言い換えています。
単位もセチ、或いはセチメートリ、メートリ、キロメートリと成ります。
因みに重さも同様で、セチグラ、グラ、キログラ、ギガグラに設定しました。