暖炉
籠に乗るわ冷たい石仏
囃し立てる思い込みに
足を止めて振り返るの
少し傷んだ果実を持ち
腐蝕に重ねる年月を今
名付け儀式は愛情放火
揺られゆらり流れゆく
淡い未来と乳白の満足
師走超えては数える皺
果報を委ねた祝詞の呪
カラクリ屋敷案内看板
足を千鳥に噛ませ歩く
ろたろた出雲の便りと
重ね合わせてご贔屓に
氷砂糖と金平糖の逢引
投獄宿には来やせんろ
投身橋にも来やせんろ
灯火消えぬ夜半の烈火
引火だけは抑えましょ
それは伝承竹籠一編み
覗く眼に肌色汗が滴り
するりとまぐわい合う
世の輪廻を分け与えて
その後我が身は浄化す
煤を掃いて鉱物残留を
百獣の王へ召すことに
羽が曲折愚考の終着点
メタモルフォーシスへ
泡と揺蕩うてんてこ舞
千里眼の掟に鍵を閉め
こけし落としを奪おう
喚く癇癪許容範囲は君
どこか落とした愛情達
拾い集める余裕もない
たどたどしい足取りを
見守る者は残りゃせん
背負う重たさ我が胸に
遠い景色の脚色がばち
竹の輪に入る温い記憶
歌舞伎者さえ威勢よく
道中針山進んで来たし
かする音に囁かれても
向きを変えず踏みしめ
足跡が馬車になる頃に
あり日春を待とうかと
皺の数かぞえを終えて
吹かれた雪風置き去り
炉に薪を焚べるとする