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異世界には夢がある

いやー長らくお待たせしました。え?お呼びでない?こりゃまた失敬


「私、ミルシィ・ウォン・ルーデグリッドは自らの羽を契りタツキさんの元に一生仕うことをここに誓います…」


うーむ、どうしたものか。確かに生前はあまりそう言った経験がない為凄く嬉しい申し出ではあるのだが、どうもあまりの急展開に俺の脳みそが情報処理を拒んでいるみたいだ。とりあえず断ろう。何事も考える時間が必要なのだ。


「えーと…ルーデリック…さん?その、俺にとっては非常に嬉しい告白なんだけどもやっぱり人との恋愛は天使にとって禁忌な訳じゃない?だからさ、その…えっとぉ…」


どうしても本題が言い出せずに口篭ってしまう。ええい、このコミュ障め根性見せんかい!


「今回は本当に申し訳ないけど保留って事でいい…かな…?」


なんとか自分の意思を口に出すことが出来た。しかし、彼女としては本当に残念だったのだろう。その目からは多くの水滴が溢れ出していた。


「うぇっ?!ごめん!俺も断れるほど出来た男じゃなかったよね!本当にごめん!」


何故か自分で言ってて悲しくなってきたんだが


「いえ…私の…グスッ……想いだけで…龍姫さんに、ご迷惑でしたよね。…すいません…グスッ」


なんというか罪悪感が半端じゃないな。まぁそれもそうか、彼女にとってその禁忌を冒す覚悟をしてまでこの何一つ冴えない俺に告白したのだ。その場の勢いとか思考回路のまとまってない状態とか色々とあったのだろうが…


「まぁ、その…あれだ別に何も…いや何一つ嫌って事は無いから俺の感情と思考回路が追いつくまで待っててくれれば助かるって言おうとしたんだけど、あんまり口が上手い質じゃ無いからさっきは伝わらなかったかもしれないけど…」


それとなく弁解を挟んでしまった…どうして俺はこう人に甘いのだろうか…。


「それで、ルーデリックさん?俺はこの後どういった事をすれば…?」

「………」

「あのぉ??」

「はっ?!ここは何処?私は誰?!」

「…はい?」

「あっ…そのっすみません!まさか私の事を何一つ嫌だと仰らず、その上一方的に感情が暴走した私の慰めをして頂けた事に至上の喜びを感じていました!」


あー、今わかった。彼女はアレだ。きっと天然ちゃんか不思議ちゃんに分類されるタイプだ。俺は彼女の今までの言動からかろうじてそう読み取ることが出来た。


「で、さっきの質問なんですけど…?」

「はい?」

「俺はこの後どういった事をすればいいんだ…ですか?」

「龍姫さんそんな他人行儀の敬語はお辞め下さい。私に対してはもっとこう、フランクな感じで接して頂けると助かります!」

「あっ、そうなのね。じゃあルーデリック…俺はこの頃どうすればいいんだ?」


お約束ならこのまま何処かに転生して俺強ええ!みたいな事が起きるのだろう。俺はその高揚を必死に隠す。彼女にこの男の妄想がバレてはいけないのだ、きっと彼女の事だ。俺がそう言えば是非にと言わんばかりに俺の願いを叶えようとするだろう。


「そうですね…まずは私達天使や神様方が住む天界で約1年ほど肉体の操作やこの世界の知識を学んで頂く事になっております。」


「…………」


彼女の口から出た言葉は俺の予想を遥かに上回るものだった。


「えーと、なんで?」

「御説明致しますとですね。まず龍姫さんの体はですね、先程構成されたばかりだと思うのですがその体には魔力と気力というものが備わっています。ただし、本来その二つは今から龍姫さんに転生して頂く世界に置いて非常に重要なものでして…」

「ごめん、その話長くなる?」

「えぇと、一応、それなりに…?」

「出来れば紙とかペンとかでまとめていきたいんだけどいいかな?」

「あぁ、それもそうですね。何一つ配慮が至らずに申し訳御座いません。」

「あと、その堅苦しい敬語も無しでお願い。なんかこっちまで緊張してきちゃうから」

「あ、すいません…」

「それとあまり謝らないで、悪い事をしてないのに謝るのはおかしいし、何よりルーデリックが俺にフランクに行こうっ言ったんだ。そっちも気軽に接してくれないとな」


まず話を聞く前に彼女の緊張を解く方が先だろうと判断し、龍姫はその方向に意識を誘導していく。

彼の現状はそんな事をしている暇は何一つ無いのだが、自分の身の状態を完全に把握出来ていないからこその行動だった。


「はい…。確かにそうですね。本当に龍姫さんは優しいんですね」


彼女はそう言って華やかな笑顔を龍姫に向ける。


(眩しいっ?!)


その華やかさは人に慣れていない龍姫の目を潰すには容易なものだった。


「目がァァァァ!」

「どうしました?!」


急に叫んだらそりゃ心配もするよな…


「いや、ちょっと眩しかったもんだから」


何とか失明は免れたようだ。


「では、龍姫さん」

「はいな?」

「早速ですが説明する場所に移動しましょう」


その言葉を最後に俺の意識は途絶えた

魔力と気力は王道でしょう

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