六夢 異世界:Ⅵ
……よし!異世界に到着!さあ今回はど〜こ
「だああああああああっっっっつううううううううううううう!あっつい!熱い熱い!熱い!あ!つ!い!」
俺の足元が焼けるように熱い、まあ、見たらわかるけど熱いよね、溶岩地帯。ヒビ割れから紅いマグマが見えてるよ!そりゃ熱いわ!
俺は熱さに耐えきれずその辺にあった大きな岩の上に乗ってみた。
「熱い!のは変わらないけど、下よりマシだな!」
ていうか今気づいたけど、俺今まで、パジャマだよ。そりゃ熱いわ!裸足だし、今夏だから薄着のパジャマだよ!俺、もしかしたらキレ芸の芸人で売れるかもしれない!
おっと、話がそれたな。
辺りを見回せば紅い紅いヒビ割れた大地が広がっている。
……おっ⁈なんだあれ?
溶岩地帯の奥に俺の下の岩より一回り小さいぐらいの岩、その上に光る棒みたいな物が刺さってるみたいだ。
遠くだからあまりよく見えないな……しかたないか、近くまで行くしかない!
熱い地面をひたすらつま先で走った俺は誰かから見ればそうとう滑稽なものだと思えるぐらい変な走り方と、奇声をあげながら走った。絶対足、やけどするだろ!アッツアツの美味しい足ハンバーグの出来上がり♪……にはならなかったな、一安心だ。
ともかく熱い思いはしたけど、例の岩の近くの岩までは来ることができた。
ていうか足ハンバーグはないわ……臭そうだし、いや実際に臭い。あまりというか、絶対嗅ぎたくない。
そんな事より例の岩をよく見てみた。
ん?剣?剣なのか?うおおおお!もしや!これは!伝説の!剣!なのかああああ!
これは俄然テンションが上がるな!なんてったってここは溶岩地帯、容易には来られない。これがどういう意味かはわかるだろう?
簡単に来られない場所に剣。それも岩に刺さっている。まるで封印されているか、真の主人を求めているかのようだ。
欲しい!とにかく欲しい!強そうだし、かっこいい!それに俺が言っていた鍵もこういった武器とかかもしれないしな。
俺はまた紅い大地に足を下ろし全力で走った。
よし!あと少しで到着!最強の武器さえ手に入るのなら熱いのさえ気にならない!やっぱり熱い!でも、大丈夫だ問題ない。
「よし!伝説の剣ゲットおおおお!」
パシッ トロォ
「はぁ⁉︎」
驚いた、剣が、チーズみたいに、溶けてた。
ああ……熱いからね……溶けちゃうよね……。
なわけ無いだろ!なぜ溶けた!何故に!どうして⁉︎……こうなるよなぁ俺の夢だもん。
呆然とトロトロの剣を見てたら、
ギャァァァァァァァァ
怪獣みたいな鳴き声が響く。なるほど、伝説の武器の前には当然、ボスモンスター、いるよね。
なぜだろう……頬に水が伝っていく、悲しくなんてないんだからねっ!
気づいた時には生温かいじっとりとした、多分口の中……。
「はっ!じめじめ……ヌトヌト……っひいっ!」
その日から湿度が高いところと熱いのが嫌いになった。どう夏を乗り切れというのか⁉︎
俺のせいだぞ!絶対復讐してやる!