二夢 異世界:Ⅱ
……またか……また異世界ですか。
俺は溜息をつき、地を眺めていた目線を真っ直ぐに上げる。
目の前には柄の悪い三人組がいる。一人は背が大きく、丸坊主で小汚い服を着ている。もう一人は中肉中背。筋肉があると思われるガタイの良さ。つむじから先端にかけて赤いグラデーションの髪。なんとなくリーダーっぽい。そしてもう一人は背が小さく、髪の毛は逆立っている。色は黒。三人とも浅黒い肌をしている。スラム育ちといったところか。
三人は大中小、と言った具合に並び、俺を睨みあげる。
今度の異世界は草原ではなく、賑やかな町の路地裏で、ガラの悪い三人の男達に囲まれていた。
「おい! てめぇ! 聞いてんのか⁉︎ 金目のもんだよ、金目のも・ん!」
(おやおや? これはあれかい? カツアゲさんかい? はぁ……やれやれだぜ)
やはり俺からにじみ出るカリスマ性を嗅ぎとってこんな事をしてしまったのか……内心ガクブル状態って感じ? ふっ、虫は街灯に集まる習性があるし、仕方のない事なのかもしれん。
まあこんな奴ら、俺が一発殴って再起不能にしてやればぁ? 懲りるんじゃない?
そんじゃまあ、一発いきますか! 俺の拳に汝らへの幸があらんことを……。
俺は渾身の一撃を一番図体のデカイ奴の腹にぶち込んだ。
これで派手にぶっ飛んで、あわよくば二人とまビビって逃げるだろう。俺の完璧な作戦!
そしたら俺はこの町の散策しに行くわけだな。でもって美少女とのboymeetsgirl!
俺の一撃が炸裂し、
ん?
視界が反転した。中小の男達のニヤニヤとした表情が見えた。あれ? 大男は? と思い、クルクル回る視界の中、男の振り切った拳が見えた。
やばい、後ろは確か、かいだ
…………汗だくで布団から飛び起きた。
息が荒く、後頭部に鋭い痛みを感じた。そして、強い感情が口から漏れる。
「調子に乗ってすいませんでした」
さすがに二回目は学習した。