♯3 それから
暖かい朝日に包まれ、僕は目を覚ます。
ベットから起き上がり、大きな伸びをした後、反射的に窓の外に目を向け、外に異変がないか確認する。
あの日以来、変な癖が付いてしまった。
その日から、早3ヶ月ほど。もうすぐ7月だ。
季節は梅雨を過ぎ、暑いと感じる日も出てきた。
ーーそう、僕らは生きているのだ。
証拠に、僕は今日こうやってベットで目を覚ますことができている。
ただ、思い返してみると、色々なあり得ない変化はあった。
何から話そうか。要点だけかいつまんでいきたい。
まず、一番に述べるべき事は、
人類は“異星人”に助けられたという事であろう。
えっ、と思うかもしれない。しかし、文字通りの事実なのである。
あの、人類を絶望の淵に追い込んだ日の夜、
彼らも突如として姿を現し、現代科学ではどうしようもなかった小惑星を一瞬にして無に帰したのだ。
そして、
圧倒的な力を誇示した彼らは、地球に降り立った後、
人類が歴史上何度も繰り返してきた“征服”という愚かな二文字で僕達を縛ることもなかった。
それだけではない。
彼らは、僕達(厳密には高校生)に“力”を与えた。
これもにわかに信じ難い話なのだが、宇宙には彼ら以外にも多数の生命体が存在していて、その多くは人類よりも高度な技術を有しているらしい。
実際に宇宙戦争などという、空想の世界での出来事のようなものも実際起こっており、地球が狙われるのも時間の問題とのことだった。
この辺りから、僕は自分のなかの常識が根底から覆される事に慣れっこになっていて、さして衝撃が無かった事を覚えている。
従って、
全世界に発信された彼らが人類と同じ姿であることなど、後々気づいた位であった。
慣れとは怖いものだ。
……と、まぁ、今はこの辺りまで語るにとどめておこう。長話は退屈なだけだ。
とにかく、なんだかんだで、
3ヶ月前の僕が想像だにしなかったであろう生活を、それなりにエンジョイしているつもりだ。
ーーさて、今日も1日頑張ろうか!
……しかし、
ベットから起き上がって目にした時計の針はいつかのように8時を指していた。
土曜日も私学の高校は学校がある。
遅刻確定。