太陽神
「‥‥ッ!!
何者だ貴様ァ‥‥‥!!」
神官は蹴られた頭部を憎らしげに押さえ、此方を睨んでいる。
対してその少女は、神官の声など微塵も聞こえないようなそぶりで俺に向かって言った。
「君が蒼 春樹くん‥だよねぇ??」
誰なんだこの人は
何故俺の名前を知っている
見た目から推測するに、年は俺や紗理奈達と同じぐらい
もしかして‥俺たちと同じく、前世界から新世界に連れてこられた、学校の生徒‥?
「ちょっとー、
返事ぐらいしてよー!
無視しないでよ!」
その金髪ロングの少女は、泣きそうな声で訴えてくる。
‥‥神官の言葉はガン無視したくせに‥
「あ‥うん
俺が蒼 春樹だけど‥」
まだ状況が把握出来ていないが、とても自己紹介なんてしてるような場面ではない
しゃがみ込んでいた神官が、ゆっくりと立ち上がった
「おい女‥‥私に攻撃する事が‥何を意味するか分かるか‥‥?」
「『死‥‥(キメ顔)』
とか言うんでしょーどーせ。
寒いよ?」
こ‥‥この人‥
神官を‥からかってる‥
「‥‥もういい、黙れ。」
神官は吐き捨てる様に言うと、再び右手をかざした。
怪しい光が収縮していく。
「死ね」
その光はレーザーとなって、ワンピースの金髪少女に襲いかかった。
だが
その女はいとも容易く、それを神官へ弾き返した。
跳ね返されたレーザーは、神官の右肩を勢いよく吹き飛ばす。
「‥‥‥ッアアアァぁああァァあぁ!!!!!」
血飛沫が舞い、神官の悲鳴が街中に響き渡る。
「あっはっはー
右肩消滅☆」
楽しげに言った 俺達と同年齢程度の女性は、
さっきの神官と同じように手をかざした。
無くなった右肩を押さえ、うずくまる男に向かって。
「じゃあお次は~‥‥
全身消滅、いっちゃうー?」
ーー背筋が凍るような笑顔。
悪寒を感じたのは、当然あの男も同じだろう。
女は 赤髪の神官の返事など待つワケもなく、攻撃を開始する。
かざした掌に、光が灯る。
しかしそれは さっきの神官の光とは異なった、眩い光だった。
ーー光が集まっていく‥‥
ってことは‥‥この人‥‥人間じゃない‥‥?
俺達と同じ、前世界からやって来た中学生じゃないのか‥‥?
「‥貴様一体‥‥何者なのだ‥‥!!」
「『いいだろう、冥土の土産にするがいい‥‥』なーんつってねー!」
な‥なんなんだこのテンション‥‥
「あたしは《アマテラス》
運命を司る太陽神、 アマテラスだよ」
太陽神ーー
神‥‥!!
「なっ‥‥何故貴様が‥‥‥!!!!」
神官が何かを言いかけたときには
レーザーというよりも 、
キャノン砲と言った方が正しいというほどの 極太の光の塊が発射され
神官の姿は、跡形もなく消えて居た。