人嫌いな彼の幼なじみ
さて、続きを話そうか。
前回は雲出喜連君の過去話だったね。
今回は現在のお話だよ。
では、始めよう。
彼、雲出喜連君は寝ていた。現在時刻は7:30分。まぁ健全と言えるだろう。
今日は四月の八日、つまり高校の入学式なんだけどね。彼に限って高校生活に胸躍らせるなんて
ないだろうさ。
しかしもうじき、彼は飛び起きることになるだろう。
なぜって?それは彼の幼なじみ、向日風深ちゃんが今喜連の部屋へと来ているからさ。
幼なじみに起こしてもらえるなんてなかなか恵まれてるじゃないか。
そして一分四十六秒後、部屋のドアが勢いよく開かれた!
飛び出してきた少女は勢いを殺さずに空中へと跳ぶ!素晴らしいジャンプだ。10.0をあげたいね。・・・着地点が喜連のお腹の上でなければ。
「うぐふぅぅぅぅっ!」
「いえーい!素晴らしいジャンプだったでしょ喜連っち!」
「待て・・・、おり、降りろ・・・」
喜連がくの字に折り曲がってる。御愁傷様。
そこで風深ちゃんがやっと降りると、満面の笑顔で、
「えへへ、喜連っち!おはよう!高校生だね!」
「・・・ああ、そうだな。今日から学校だ。」
「喜連っちと同じクラスだといいなー」
「ああ、俺もお前と一緒がいいよ」
「ふえぇ?ななな、なんで?」
明らかに狼狽してる。分かりやすいなー風深ちゃんは。まぁどうせ喜連は・・・
「だって俺お前以外嫌いだもん。お前くらいしか話せない。」
「だよね・・・嫌われてないだけいいのかな・・・」
「ん?」
こいつすげー鈍感なんだ。人付き合いが無いからしょうがないといえばしょうがないんだけど・・・
では朝のほのぼのとした一幕を垣間見たところで紹介をしようか。この物語のキーパーソンだからね。
彼女無くして雲出喜連は語れないよ。
分かってると思うけど、彼女の名前は向日風深ちゃん。
天真爛漫にして天衣無縫。裏表のない素晴らしい人格の、喜連の幼なじみだ。裏表が無いから喜連は彼女とはコミュニケーションがとれるのさ。
容姿は幼さが残るけど、とても可愛い。うん、喜連じゃなければ大体の男の子は惚れちゃうだろうね。
スタイルのことは触れないであげるのが優しさかな・・・
「あれ、お前髪型変えた?2つに縛ってたよな?」
「わ、わかる?ショートカットにしてみたの。どう、かな?」
お、喜連が気づくとは、って。これで気づかなかったら鈍感ってレベルじゃなかったよ。さぁ、喜連の返答は?
「いいんじゃないか?似合ってるぞ。」
「ほ、ほんと?え、えへへ。喜連っちに褒められちゃった。えへへへ。」
「おーい?風深?へんじがない ただの ふうかのようだ。さて風深はトリップしてるし準備するか。」
すごいな喜連は。なにがすごいって全然意識しないで風深ちゃんをトリップさせた。これが噂に聞くジゴロってやつか・・・
そして五分後、風深ちゃんは戻ってきた。
朝食(風深ちゃんの手作り)を食べ、そして学校へ登校した。もちろん、いっしょにね。
喜連は容姿はかっこいい。なかなか絵になる光景だったよ。
・・・噂になるだろうね。入学初日からいっしょに登校してきた美男美女のカップルがいるって。
喜連はそんなの気にしないけど、風深ちゃんは真っ赤になるだろうね。
今回はここまで。
風深ちゃんかわいかったかい?間違いなくヒロイン候補だから覚えておいたほうがいいよ。
これは本編への布石さ。
次は人嫌いな彼の学園生活だ。
では、聞いてくれてありがとう。
またよろしくね。