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プロローグ:人嫌いへの経緯

彼のお話を聞こうとしていただきありがとうございます。

では、拙い語りですが、どうぞお楽しみください。

 彼は一人だったんだ。他人から苛められている、家族を亡くした、なんかじゃない。彼は自ら望むべくして一人になっていた。なぜならそれは、


 彼が極度の他人嫌いだったから。


 彼は親も兄弟も幼なじみも先生もクラスメートもみんな嫌いだった。大嫌いだった。大小はあれど有無はない。それが彼。

 彼は生まれつき人間が嫌いというわけじゃなかった。ある、出来事がきっかけだった。

 ささいで、小さな、ありふれた、だけどだからこそ人間というものの本性が分かる。そんな出来事がね。

 

 今から5年ほど前、小学5年生の春。彼は当時、明るくユーモアにあふれててクラスの中心的人物だった。親友だと思っている友達もたくさんいた。

 だけど、そんなものはあっというまに全て崩れ去った。

 たった一回だった。いじめられっ子を助けるといういい事をしただけのはずだった。

 でも、それだけで《あいつは調子に乗っている》というレッテルを貼られるのには、そして、そのレッテルは小学生が攻撃の的にするには、充分すぎたんだ。

 彼に行われた所業は割愛しよう。聞いてもつまらないだろうしね。割愛、愛を割く、愛を裂く。ぴったりだ。彼の友人たちへの愛は裂かれた。ズタズタに。

 その後彼は他人が嫌いになった。他人のする行為の全てが己の利益のための行為にしか見えなかった。

 でも、彼は他人に迷惑はかけなかった。他人が嫌いだからといって、いや嫌いだからこそ他人に迷惑をかけるのが嫌だったんだ。

 動機はどうあれ素晴らしい心構えだと私は思うよ。

 さて、これが彼の人嫌いになるまでの経緯だよ。普通だったろう?普通じゃなければ、特別な経緯だったならこれだけが特別なんだ、って思えただろうに。普通ってことはみんなもそう、ってことだ。だから彼は人嫌いになったのさ。普通に人を貶められる他人に嫌気がさしたのさ。


 唯一普通にコミュニケーションがとれる人間は幼なじみの女の子くらいみたいだ。 彼女はとてもいい娘だ。天真爛漫で表裏のない人間ってのには彼も普通に接することができるみたい。でも家族とは不干渉らしいね。

 動物に対してはすごい心を開くんだよ?無類の動物好きだね。私はそれに目をつけたんだよ。あそこに飛ばそうって思ったのもそれが発端・・・

 おっとこれ以上は言えない。つまらなくなっちゃう。


 時間が経って、彼は高校生になった。相変わらず他人は嫌いだったけれどね。


 そんな彼の名は、雲出喜連(くもず きれ)といった。


 さて、一区切りがついた。どうだったかい?


 え?暗いって?大丈夫。これ過去のお話。

 いまからまた私が語るのは彼のこれからのお話。彼が、人嫌いな彼が、


 人を好きになるまでのお話だよ。


 ん?私が誰だって?ふふ、それもおいおいお話のなかで分かるさ。


 それでは話していこうか。私が彼に施した彼の、人嫌いのナオシカタを。 

最後まで聞いていただきありがとうございました。

次回もよろしければまたどうぞ。

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