DATA:タルタロスの迷宮6
セブン『うらあああっ!!』
ドゴオオオン!!
迷宮のあちこちから声が響いてくる。
放送部が開発したアイテム[ライブクリスタル]だ。
これは[カメラクリスタル]というアイテムからの映像を映すことができる…勿論音声もだ。
そしてその映像は地下94階層のボスと戦っている映像である。
[蠅魔王ベルゼバブ]…昆虫族の中で最強と名高いモンスターは最強の中学三年生によってたった今、息の根を止められた。
[タルタロスの迷宮地下三階]
レンサイド
レン『さすがはセブン先輩だな…。』
ユイ『ボクなら絶対ムリ、虫キライだもん。』
エリカ『情けないわね…きっと次の階は虫でいっぱいかもよ?』
ユイ『きゃあああ!怖いこと言わないでよ!』
リン『お化けでいっぱいということも…』
エリカ『キャアアアアアア!!!聞こえない聞こえない聞こえない聞こえない聞こえない!!』
ミチル『…ノーghost(お化けなんていないさ)。』
この騒がしいメンバーで俺達は今、[タルタロスの迷宮]を探索している。
門キー狩りはハル先輩が大型トラックサイズのヤツを一撃で仕留めたりした以外は普通に上手くいった。
そして今俺たちは地下三階の広間でセブンの戦いを見ていた。
最後の一撃の音はあまりにも凄まじかったために他の冒険者のクリスタルの声も聞こえてきた。
もしかしたら生の音声だったのかもしれない。
俺達の画面のセブンは何もなかったかのように下の階に降りる階段に向かおうとしていた。
その時だった。
黒と白の斬撃がセブンめがけて飛んできた。
セブンはそれを掴み、勢いを失った斬撃は消滅した。
セブン『…誰だ?』
ムサシ『今のはちょっと本気だったのに止めるとは…なかなかやりはりますな。』
セブン『ふん…バトルなら受けて立つぞ?』
ムサシ『まあまあそういきり立ちなさらず…バトル目的なのは確かどすけど。』
セブン『その余裕…[カンスト組]だな。』
[カンスト組]…[ファンタジー]において上昇する能力が無くなり、各々なりの楽しみ方をしている面々のことだ。
ムサシ『それにはもう少しかかりますなあ…けど、[裏クエ]にはあんさん倒すのが近道どすから。それに今日は晴れてるし…絶好の殺戮日和やわ♪』
セブン『…正直ベルゼバブでは物足りなかったところだった。ありがたくお前の首を頂くぞ。』
セブンとムサシが互いに構える。
クリスタル右上の視聴率を見るとこのチャンネルは8割以上の生徒が注目しているらしい。
セブンは[王者のガントレット]、ムサシは[邪悪なる聖剣][神聖なる妖刀]をかまえた。
レン『相手のムサシってまさか…』
ユイ『高校学ラン二位の[灰色の二刀流]…ナナさんが一度戦ったことがあるみたいだけど圧倒的に負けたらしい。』
エリカ『あの人が!?』
セブン『…レアスキル[二刀流]の力、見せてもらうぞ!』
セブンはいきなり三人に分身した。
ムサシ『可愛げがないなあ。多人数で1人を苛めたい派なん?』
セブン『よく言うな…少なくともお前は僕が対峙してきた相手の中で一番強い!』
セブン三人がムサシに飛びかかる。
ムサシは動じることなくじっとしている。
そして時間差で三方向からのセブンの攻撃を受け止めると天を仰いだ。
そして剣と刀を十字に構えて跳躍した。
ガキャン!!
セブンのかかと落としとムサシの十文字斬りが空中で火花を散らせた。
『分身の一撃もなかなか重いやんか。それに[王者のブーツ]による[落雷脚]…一瞬ヤバいと思ったわ。』
『御託はいらん。』
空中で言葉を交わした2人は距離をとった。
『つれまへんなあ。おなごはおしゃべりが好きどすのに。』
『僕は拳で語る派だ!』
セブンは身をかがめ、右腕を後ろに構えた。
『[ギガストライク]…やなさそうやな。もっと雄々しい感じやわ。』
『これだけは教えておく。この[王者のガントレット]は…僕のお気に入りなんだ。』
『壊さんといてほしい、って願いはきっと聞き入れられへんで?』
『お気に入りの理由は…俺だけの一撃だ!』
セブンはムサシに向かって構えたまま、跳んだ。
『ならうちも最強の一撃で向かい撃たせてもらいますわ!』
ムサシは剣と刀を鞘にしまい、居合い切りの構えをとった。
『ロイヤル・ストレート!!』
『カオス・カウンター!!』
2人は交錯した。
セブンは拳を振り切り、ムサシは片腕に剣と刀を持っていた。
2人の後ろにはあまりの速さにより、ポリゴンの残像が残っていた。
『…あんさん、なかなかやりまんな。』
『お前こそな。』
2人は同時に倒れた。
その瞬間、歓声と拍手が[タルタロスの迷宮]に響き渡った。
そして彼らのようなドラマを求めて、冒険者達は先に進み始めた。




