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ましろ

作者: 雨蝶蜜裄
掲載日:2012/01/15


吐いた息はどこまでも白く伸びて行って、ある瞬間消える。

その瞬間が、少し物悲しい。

けれど、そんな景色を映す冬が、私は大好きだ。


「ねぇ、このまま飛びたいって思う事無い?」

「何だよ、突然。」


まぁ、特に意味はないのだ。

思春期特有の、軽いうつ症状だと捉えてもらって構わない。

そう話せば、案外真面目に考えて、ゆきは答えた。


「飛びたくは、ないかな。」

「理由は?話したくなければ、構わないけど。」


少し、ほんの少し意外だった。

ゆきは、私よりも飛びたいと考えているだろうと、即答とまではいかなくとも、それ位の早さで答えてくれるだろうと思っていただけに、驚きは隠せなかった。


「別に、りんが思うほど、深い考えは無いよ。」


ゆきは、ほんの少しだけ口元に笑みを乗せると、そう言った。

では、深い考えでないとするなら、どんな考えなのだろうか?


「飛んだら、鈴に会えなくなる。」

「それだけ?」

「それだけ。」


何ともあっけない回答。


「あっけないけれど、僕にとっては何より大切なことだよ。」

「そんなものかしら?」

「そんなものですよ。」


ゆきは、ほうと息を吐く。

それは、高く高く白く色付いて、そして消える。


「あぁ、本当に飛ぶつもりはなかったんだけどなー。」


「さようなら、鈴。」


ついさっきまで隣に腰掛けていた少年は、そこにはいない。

まるで、始めから誰もいなかったように、一人分の隙間を作ってそこは空いていた。


「飛ぶつもり、ないって言っていたのに・・・」


はらはらと降る雪は、彼の涙だろうか。

私は、ただぽっかりと空いてしまった空間に、そのまま寝そべって空を見上げた。


「来年も逢えるか?ゆき・・・」


その昔、豪雪地帯にありながら、冬でも雪があまり降らぬ山があった。

そこには豊かな土壌があり、作物が鈴なりに実る事から、鈴鳴様と呼ばれる神が奉られていた。


鈴鳴は、もう一度息を吐く。


その白は、とても暖かだった。

人の恋愛は苦手な作者です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] いや、凄く良いと思いました。 まあ、私の好みなんですが、こういう『間』を上手く使った作品は好きなんです。とっても心に残るから。 鈴鳴様の意図についてはあまり描かれていないようでしたが、逆…
感想一覧
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