練習しようと思ったけど、まずは形からだよね
「それじゃあ、練習を始めよー!」
叶が元気よくこぶしをあげながら言った。
「その前に、楽譜は?」
練習をするにしても、楽譜がなければ練習の仕様がない。
「安心したまえ修司くん!わたしはちゃ~んと持ってきているのだよ」
ドヤ顔を決めながら、叶は自分かばんの中から、大きな音符がプリントされたファイルを取り出した。
そしてそのファイルの中から、何枚かの楽譜を取り出した。
「ジャーン!これが、やる曲の楽譜で~す!」
叶はドヤ顔をしながら僕と、舞さんに見せ付けてきた。
そして、その楽譜を、僕と舞さんに配布した。
楽譜を叶が配布し終わると同時に舞さんが何かを思い出したような顔をして、
「このバンド、名前はなににするんだ?」
と聞いた。
確かに、バンド名なんて一切考えてなかった。
すると、その質問をうけた叶は待ってましたといわんばかりに、答えだした。
「私は、いくつか案をかんがえてきたのです!」
また、ドヤ顔をした。
確かに、ドヤッといえることかもしれないが、いちいちドヤ顔をしなくてもいいのにと心の中で思ったりした。
「私の考えてきた案はこれです!」
そういって、叶はバンド名の案がたくさん書かれた紙を机の上に置いた。
上から順に見ていく、、、
危ない名前が多い
たとえば、Beatleゴホンゴホン とか
世界的なバンドの名前を初心者バンドがtheだけ抜いて使うのは失礼だと思うし、ファンも怒るだろう。
他にも、ドラ〇もんズとか、ミッ〇ーマ〇スズとか
なんか、バンドのイメージを描いてみたら著作権に引っかかりそうなものばかりだった。
この案に対して言いたいことはたくさん思い浮かんできたが、僕より先に舞さんが口を出した。
「おい、これはいろいろと問題がある案ばかりじゃないか?」
叶は驚いたような顔をした。
「えっ、どこに問題があるの?」
「ボクが思うに、これではバンドのイメージキャラクターとか作ったときに著作権に引っかかったり、世界中のファンの人たちから怒られちゃったりすると思うんだ。」
僕は。厨2病のくせにまともなこというな~と少し感心してしまった。
しかし、その感心はすぐに裏切られた。
「じゃあ、どんなバンド名ならいいの?」
と、叶が聞く。
「う~ん。そうだな~。」
舞さんは目を閉じた。そして、数秒後きっかりと目を開けた。
「アフタースクールお茶時間とかどうだ?」
がっかりだ。
まさか、今年の冬映画化するあのアニメのパクリとは、、、
がっかりだ。
「ちょっとまって!このままだと二人とも、著作権に引っかかっちゃうよ!」
そういって、もう、二人に案を出させるのはやめた。
そして、あるバンド名を思いついた。
「そうだ!このバンド名の名前はTAIにしよう。」
僕の思いついたバンド名は、Tyuuni to Ahoge to Ijimerarekko(厨ニとあほ毛といじめられっこ)略して、TAIという名前だった。
「意味は?」
舞さんが聞いてくる。
答えにくい質問だった。
だって、意味がメンバーの短所(あほ毛除く)の頭文字だなんていえない。
「え~っと」
悩む。
そこに叶がしってか、しらずか、助け舟を出してくれた。
「あんまり深い意味はないんでしょ?」
「そっ、そうなんだよ!」
「ふうぅ~ん。まあ、なんかかっこいいから、いいか。」
舞さんは、よく分からないが納得してくれたようだ。
ふうと心の中で一息。
叶は、
「もちろん私はこの名前でいいよ~!横文字が入ってるしね!」
と納得してくれた。
横文字が入ってればなんでもいいのかよ!って突っ込みそうになったがあえて心の中にとどめた。
こうして、バンド名はTAIになった。