3,2,1のカウントダウン
3日
そう、TAIのライブまで、残り3日をきっていた。
時間というのは、待ってほしいと思えば思うほど速く過ぎていくもので、、、
あの、9日前の演奏がまあまあになった日から、まだ6回しかみんなで練習できてない。
まあ、勉強していたのだから仕方ないといえば仕方ないのかもしれない。
しかし、そんな身勝手な理由で、適当な演奏をライブでするわけにはいかない。
がんばらなければいけない。
たとえ、あと3日でも、全力で。
このライブが成功すれば、何かが変わる気がしているんだ。
「修司~。のどかわいた~。ココア~。」
そんな、僕の思いとは裏腹にまったくやる気のない声が音楽室に響く。
「あのですね~、叶さん?もうライブまで3日をきっているんですよ!やる気あるんですか?」
軽く怒ってみる。
「うわ~。修司が怒るよ~。助けて舞ちゃん!」
「修司。そんなカッカすんなって。怒ったって、どうにもならないんだよ。」
とまあ、最近はこんな感じで、練習はできずにいる。
でも、さすがに、そろそろやらないとまずいと思う。
そう思い、
「ねえ、ほんとにそろそろ、練習しないと、」
というと、
「大丈夫。大丈夫。夏休みの宿題は最後の日までとっとくタイプだから!」
そういう問題なのか?
そして、僕の記憶が正しければ叶はいつも、宿題を忘れていた気がする。
「僕も、そろそろ、練習したほうがいいと思うぞ。」
舞さんも、賛成してくれた。
さすが、ここぞというときにまともな舞さん!
「う~ん。じゃあ、練習しようか。面倒くさいけど、、、」
誰が、バンドやるって言い出したんだよ!
って、言いたくなったけど心にとどめた。
そして、やっと練習が始まる。
「1,2,3」
思ったよりもまともな演奏だった。
叶の手を見てみたら、まめだらけだった。
痛そうだった。
叶、毎晩練習してたんだ。
なんだかんだいって、がんばってるじゃん!
演奏が終わり、叶が渾身のドヤ顔を見せ付ける。
「どうだった?今の演奏!よくない?超よくない?」
「うん。すごくよかったと思うよ!」
笑顔で、そう答えた。
「やっぱり?そうだよね。よかったよね?」
「僕も、よかったと思うぞ!」
3日前。やっと安心できた日だった。