フルバースト偏差値取れる砲
カリカリカリカリ
なぜか、放課後の音楽室から、楽器の音ではなく鉛筆の音が聞こえる。
今は、冬。
そして、受験生にとっては一番大切な季節なのだ。
たとえ休みでも気安く、「著作権ネズミーランドいこーぜ!」とかいえないのだ。
クリスマスに彼女とデートなんていけないのだ。彼女いないけど。
ましてや、別のことに打ち込むわけにも行かない。
楽器を習い始めるなんてもってのほかだ。
それなのにはじめてしまった受験生達が3人いたのだ。
まあ、でも僕はちゃんと計画してあるから大丈夫なんだけどね。
しかし、僕以外の2人は完全にアウトだ。
志望校を決めてなかったのだ。
そして、バンドを続けるという目的のためだけに、僕の志望校である少し偏差値高めの学校を志望校にして、ライブまで4日をきっているというのに勉強をしている。放課後の音楽室で、、、。なんで、音楽室なの?
まあ、その疑問はおいといて、、、
「できたー!」
叶が思いっきり両手を上に上げた。
シャーペンと消しゴムがふっとんだ!
ふっとんだシャーペンと消しゴムはピアノに当たった。
壊れたらどうするんだろうか、、、。
「これくらいの問題なら私でもできるよ~。修司、早く採点して!きっと満点だから!」
得意げな顔をしている。
これくらいの問題って、、、これ、あなたの志望校の過去問なんだけど、、、
とりあえず採点してみる。
、、、
採点してみた結果はとてもひどかった。
むしろすごいといっていいほどの低い点数だったのだ。
20点。
もちろん100点満点中だ。
「う~ん、、、やっぱり、僕の志望校じゃ無理だって。」
採点した答案を渡す。
「こんな結果、、、嘘だっ!」
叶が目を見開いて言う。
「もう一回!」
これで、本日10回目の過去問だ。
舞さんは、自主勉強しているが、叶は一人では勉強の仕方が分からないらしく、僕が教えてあげることになった。
だけど、叶は、一番教えにくいタイプだ。
何回間違えても、反省しない。間違えを認めようとしないのだ。
末恐ろしい子!
まあ、とにかく、今日はひたすら、勉強を教えた。
こんなんで、ライブ大丈夫なのか?
ただ、そう思うばかりだった。