はじまり(厨ニはまだ出てきません)
いつものように朝が来た。
いつものように家を出て、いつものようにイヤホンを耳にして大音量で音楽を流し、
そして、いつものように学校に行く。
いつものように下足ロッカーを開けると、いつものように上履きがない。
仕方なく、貸し出し用のスリッパを借りて、いつものように教室に向かい、自分の席に着く。
いつものように僕の机には落書きが大量にされている。
ほとんどが僕の悪口だ。
それを見ているといやになるから、仕方なく全部消す。
消し終わったら、先生が来るまで机に伏せて寝たふりをする。
これが僕の日常だ。
いつも、いつも、いつも、、、
僕がいじめられるようになったのは、1年生の冬頃からで、今年で2年目になる。
来年からは高校生になるわけで、この冬が終われば、この日常も終わる。
僕の通っている中学校の近くには5つの高校があり、僕の学校の生徒は大体そこに行く。
僕の成績は、中の上くらいだから、その5つの中でも評判がいい私立校にいける。
そうすれば、もういじめるれることもないはずだ。
僕はもともと、友達が多いほうだった。
だけど、冬のある日それは変わった。
僕は、クラスの中心のようなやつにとび蹴りを食らわせてしまった。
理由は、そいつが、僕の大好きな人の悪口を散々なまでに言ったからだ。
僕の大好きな人というのは、小学校からの同級生である女の子だ。
その女の子は、真面目過ぎるといってもいいほど真面目で、校則を破るやつとか、友達をいじめるやつとかを注意してまわるような子だった。
彼女の祖父は、空手の道場の師範代だ。一回、僕も、その道場に行ったことがある。
そのせいで、彼女は、幼いころから空手を教えられた。
だから彼女は、はむかってきたいじめっ子とかをヒョイと投げ飛したりもした。
そんな彼女は、僕が小学3年生だったとき、一個上の子からいじめられそうになったときなに必死にかばってくれた。
だから、僕は彼女が大好きだった。
そんな大好きな人のことを、そいつは、豚だとか、ビッチだとか
そんな風にいって、大笑いした。
だから、何も考えられなくなって思いっきり蹴飛ばした。
そして、ハッと自分がしてしまったことに気づき、謝った。
だけど、そいつが許してくれるわけもなく、
「テメェー!何しやがる!」
と言って、襲い掛かってきた。
周りにいた彼の友達も一緒になって襲い掛かってきたから、いくらがんばっても、反抗できるわけなかった。
そして、次の日から、僕へのいじめは始まった。
もちろん、僕の大好きな人は、必死で守ってくれようとした。
最初のほうは、そいつら全員を投げ飛ばしてくれたりもした。
だけど、そいつらは、僕の大好きな人には見えないところでいじめてくるようになった。
僕は僕の大好きな人に、迷惑をかけたくなかったから、いじめられてるのを必死で隠し続けた。
そうやって、現在に至った。
そんなことを回想しつつ、寝たふりを続けていたとき、前のほうで声がした。
「ねえ、修司ってば!」
音楽をとめ、イヤホンをはずし前を見ると、そこには叶がいた。
叶というのは、僕の大好きな人の名前だ。
そう、この子が僕の大好きな人。
叶は、茶髪のストレートで、背は高いほうだ。
うちの学校は、制服なのできっちりと校則どおりに制服を着ている。
顔は、、、想像に任せる。が、かわいい感じだと個人的に思う。
特徴は、頭のてっぺんにあほ毛が生えていることだ。
「ちゃんと聞いてた?」
叶が聞いてくる。
「ごめん、聞いてなかった。」
正直に答える。
叶が頬をふくらませる。
「もお~!もう一回言うから、ちゃんと聞いててよね!」
「うん。」
「あのね、私、バンドやりたいな~って思うの!」
「ふ~ん。それで?」
「それでね、一人じゃバンドできないでしょ。」
「そうだね。」
「それでね、修司がバンドに入ってくれないかな?って!」
一瞬、考えた。
そして、「え~」っと言いそうになったが、ここで「え~」っと言うと、手首をひねられて、いててててて!ってなってから、強制的にやらされるのがめにみえた。それがいつものパターンだったから。叶はいつもそうだ。だから、あえて「いいよ」ということを決断した。ここまで、コンマ1秒。
「いいよ。」
僕は軽く笑っていった。ここでも軽く笑って言わないと「嫌なの?」といわれ、耳たぶをつねられ、いててててて!ってなって、「喜んでやらせていただきます」というはめになるからだ。それがいつものパターンだ。
「やった~!」
と、叶は満面の意味で言う。そして軽く飛び跳ねる。
「じゃあ、練習は今日の放課後からだから!」
「えっ!他のメンバーいないから一人じゃバンドできないって言ったんじゃないの!?」
「誰がそんなこと言ったの?私は、一人じゃバンドできないって言っただけで、他のメンバーがいないだなんて一言も言ってないよ。」
「まあ、いいけどさ」
「じゃ、よろしく!」
そういって、叶は席に戻っていった。
それと同時に、先生が教室に入ってきた。
こうして、その日の朝は終わった。