青年海外協力隊に現職参加
そんな時にハッケンしたのが青年海外協力隊募集のポスターだった。もちろんボランティアなんかするつもりは毛頭ない。青年海外協力隊員になれば、タダで外国に逃げることができると思った。会社では「役に立たないヤツ」とレッテルを貼られ、窓際に座らされていたし、女との関係も一度清算したいと思った。仕事からも女からも逃げられる青年海外協力隊は、俺にとって都合がよかった。
しかし学歴もなくアホな俺。仕事を辞めて参加すると、帰国後仕事がなくて困ってしまう。募集のパンフレットを見ると、仕事を辞めないで参加できる制度があることを知った。これが「現職参加」。俺は上司に、青年海外協力隊として海外にボランティアに行きたいと伝えた。そして、現職参加、仕事を辞めずに参加できるようにしてもらうよう、頼んだ。
しかしお荷物社員で、しかもふしだらである俺。
「仕事辞めて、さっさと海外でもどこでも行ってしまえ!」
上司は冷たくいい放った。しかし、帰国後仕事がないのは困る。
最終的に俺は、社長に土下座して現職参加を頼み、許可をもらった。社長も
「兵子製作所は国際貢献もしている会社」
というプラスイメージを世間にアピールしたかったようだ。しかし、そんなことはどうでもいい。
俺は青年海外協力隊員として試験に合格。派遣前の訓練を受けて、任地の南米・ボリビアへ旅立つことになった。




