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山岳に聳える小さな街。そのには一つ、奇妙な伝承がある。

 逃げた先には、あの小槍から見た街が広がっていた。彼と僕が始めて出会った場所。



 今僕達は、ある目的地に向かっている最中だ。そして、それがこの街の奥にあるらしい。


 目的地とは何かと期待していると、道中には街とは思えない一風変わった景色が広がっていた。


「うわ、死んでる。」


 道端には、餓えで死んでいったであろう貧民の死体が至る所に点在していた。


 遠くからは見えない、この街の本当の姿。



 僕が死体を観察していると、先に歩いていた源二さんが振り返り様に、呆れたように云った。



「あんまり近づくなよ〜。たまに感染症の死体もあるから、あんまり触ると寿命縮めるぞ。」




「え〜、マジか。きたねー……」


 後先考えない僕の行動に、源二さんは少しため息をつきいた様子を見せた。

 そこから、僕が歩いてきているのを確認し、また”目的地”に向かって歩き出した。



「ところで、今どこに向かってるんですか?」



「あぁ、行ってみれば分かる。あそこで話そうと思ったが、盗賊が来たからな、直接行った方が速い。」



「そ、そうですか。」


 源二さんの様子が、まるで何かを隠しているように不自然であった。


 それに、やけに口調が明るい。


 目的地について曖昧にぼかされたが、そんなにわざとらしいと、少し期待を膨らませてしまう。




 (まぁ、怪しい所ではないだろうし、別にいいか。)






 あれから30分程で、その目的地についた。

 辺り一面草むらに覆われ、地球上の何処にでもありそうな自然の景色が広がる。



「ここからも薄らと見えるんだ。あれだよ。」


 源二さんが指を指す場所には、苔で保護色になっている鉄製の扉が、森林の中で息をひそめていた。




 草むらの中、源二さんは僕の右側で、ずっと機械のように淡々と説明をしている。



「こっからは、まぁ、よくある伝承みたいなものなんだが………」


 少しの歴史からの解説を終え、本題に入る。

 その時の彼は、少し希望を抱いている顔立ちをしていた。



「現実世界、戻れるかも知れない。」


 源二さんがそう云った瞬間、僕は心の内側が一気に透き通った感覚に陥った。



 ずっと気になっていた、現世への戻り方。




 その手がかりが、今目の前にあるのだから。


 


 




 






















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