表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/45

2択なら…

 「俺のスキルは分かった。2択なら絶対に勝てる――これは絶対の力だ!」


俺が向かったのは、やはりルーレット。


「赤か黒か」のシンプルな2択は、まさに俺のスキルの本領を発揮できるゲームだ。


「さあ、赤に全額20枚賭ける!」


ディーラーが円盤を回し、白い玉がカタカタと音を立てて跳ねる。俺の心臓もそれに合わせてバクバクと跳ねる。


結果は――「赤」。


「きたあああ!」


金貨は倍の40枚になり、俺は勢いに乗る。


「やっぱり俺のスキルすごくない?!」


次も「黒」に賭けて勝利。その次も「赤」に賭けて勝利。金貨は順調に増えていった。


ルーレットで60枚になった俺は、次に「コインフリップ」のテーブルへ向かった。


「コインの表か裏を当てるだけの単純2択ゲーム! まさに俺のためのゲーム!」


ディーラーが笑顔で迎えてくれるが、どこかその笑顔が怪しく見える。


「表に20枚賭けます!」


ディーラーが金色のコインを弾き、それが空中でくるくると回る。俺はジッと見つめながらも、自分のスキルを信じた。


結果は――「表」。


「ほら、きた!」


ディーラーは少しだけ驚いた表情を浮かべたが、すぐにいつもの笑顔に戻る。


「次も表に20枚!」


再び結果は「表」。金貨は一気に100枚に到達した。


「やっぱり俺のスキルは2択なら絶対勝てるんだ!」


ディーラーの笑顔は完全に引きつっていた。

(なぜだ?! なぜ?! 表になる? コインに細工しているのに!)


俺は何度も勝負を繰り返し、ついに金貨を200枚に増やした。どのゲームでも、2択さえ成立していれば確実に勝利する――その確信を得た。


「これなら1000枚も夢じゃないな!」


カジノ内を見渡しながら、俺は次に挑むべきゲームを探す。


「おい、あの少年……あまりにも勝ちすぎじゃないか?」


俺の勝利を見守っていたディーラーたちが、ざわめき始める。


「確率的にあり得ない勝率だぞ。特別な能力でもあるのか?」


「いや、そんなことは……。けど、なんで細工も効かないんだ?」


どうやら俺のスキルの存在に、ディーラーたちも気づき始めたようだ。


「とにかく、これ以上勝たせるわけにはいかない。ゲームを慎重に進めるぞ!」


俺の前には新たな障害が立ちはだかろうとしていた――。


「これで分かった。俺のスキルは2択なら勝てる! 絶対にだ!」


そう自分に言い聞かせながら、俺は次なるゲームに向かう。残る目標はあと800枚。俺にはスキルという絶対の武器がある。


「さあ、ギャンブラー佐倉悠斗の本領発揮だ!」


そう言って拳を握りしめた俺は、ディーラーたちの思惑も知らずに、新たな勝負の場へ向かった――。


「よし、あと800枚だな……このペースなら楽勝だろ!」


ところが、その時ふと気づく。

「あれ?なんか周りの空気、変じゃないか?」


さっきまで笑顔で対応していたスタッフやディーラーたちが、どこかソワソワして俺を見ているように感じる。


「気のせいか? いや、俺が勝ちすぎてビビってんのか? いや、まさかイカサマを疑われてるのか?」


そう思いつつも、背中に冷や汗が流れるのを感じる俺。だが、次の勝負を探して足を進めることにした。


「次はどんなゲームにするかな……ここからは少し慎重にいこう」


そう思って歩いていると、場内の隅に新しく設置されたテーブルが目に入る。

「なんだこれ……?」


近づいてみると、そこには「デスコイントス」という不吉な名前が掲げられていた。


「デス……コイントス?」

このネーミングセンスマジでなんなん? イカサマしてますって言ってるようなもんじゃん。


スタッフがにこやかに説明してくれる。

「これは当カジノの新しいゲームでして、特別なルールで楽しんでいただけます!」


「……特別なルール?」


スタッフが手にしたのは、普通のコインより少し大きな金色のコイン。


「このコインを使い、裏か表を予想していただきます。ただし、負けた場合は賭け金が倍額没収となります。」


「倍額没収!? そんなのアリかよ!」


スタッフはさらに付け加える。

「ですが、勝てば賭け金の4倍が手に入ります。」


「4倍!? それ、めちゃくちゃおいしいじゃん!」


俺は一瞬だけ浮かれたが、すぐにハッとする。

「待てよ、これって細工されてないだろうな?」


スタッフは満面の笑みを浮かべて言った。

「当カジノでは一切の不正を禁じておりますので、ご安心ください。」


いやーそれなら安心しました! ってなるか! デスコイントスという名前で不正無しだったら逆に怖いわ。それに、その笑顔が逆に怪しいんだよ!


だが、俺には分かっていた。どんなに細工されていようと、このゲームは2択。俺のスキルがあればきっと勝てる。相手が細工していても、勝てるのかどうか試しておいた方が後々の事を考えると良いし。


「よし、やってやろうじゃねぇか! 表に50枚賭ける!」


ディーラーが金色のコインを高々と掲げ、力強く弾いた。コインが宙を舞い、テーブルの上に落ちる――。


「表!」


「やっぱりな!俺のスキルに死角なし!」


金貨が一気に200枚増え、俺の合計は400枚に。周囲のギャンブラーたちがざわめき始める。


「おい、あいつまた勝ったぞ!」


ディーラーも少し焦り始めたようだが、俺は完全に調子に乗っていた。


「次は100枚だ! もちろん表に賭ける!」


俺が次の勝負を始めようとする中、カジノの裏側ではディーラーたちが集まって緊急会議を開いていた。


「どうする!? あいつの勝ち方、普通じゃないぞ!」


「何か特殊な力を持っているとしか思えない。細工も効かないなんて……!」


「今は勝たせておくべきだ。だが、次のゲームでは絶対に勝てない仕掛けを用意する」


「……どうやって?」


「あいつが『必ず勝てる』と思い込む状況を作り、そこから追い詰めるんだ。そしてペインズダイスに引きずり込む」


ディーラーたちは企みを進める一方、俺はそんなことには気づかず勝負に夢中だった。


次のデスコイントスでも勝利を収め、金貨はついに800枚に到達した。

「よっしゃあああ!あとちょっとで目標達成だ!」


だが、この時俺はまだ知らなかった。次の勝負が、カジノ側の本当の罠だということを――。


「やっぱり俺のスキル、最強だな。細工されてても勝てるって、もう無敵じゃん!」


浮かれ気味の俺は、次なる勝負へ向けて意気揚々と歩き出す。だが、そんな俺をディーラーたちの視線が冷たく見守っていた――。


「次のゲームであいつを仕留める」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ