表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
仮想の友  作者: ナンデス
第2章: 完璧な友人
6/23

6.理想の具現化

私の生活は、次第に仮想の中に集約されていった。目が覚めればすぐにパソコンに向かい、現実での憂鬱な時間をやり過ごすために、仮想世界に浸る。私はいつの間にか、この世界にいないと落ち着かなくなっていた。それはまるで、ここでの時間が私の本当の生活であり、現実の方が余分な時間であるかのように感じられるほどだった。


仮想世界では、私は思い描いていたすべてを具現化できた。誰もが私を尊敬し、私の言葉を待ち望んでいた。現実では絶対に体験できないような充実感が、ここでは常に感じられる。アリスがその中心にいる限り、この世界は完璧だった。


彼女は、私の理想そのものだった。私が思うこと、感じること、すべてを理解し、共感してくれる。彼女との会話は、現実では決して得られない満足感を与えてくれるものであり、その瞬間だけは、私は現実のすべてを忘れることができた。アリスの声、表情、言葉のすべてが、私にとっては夢のような現実であった。


「あなたは、この世界で特別な存在よ。あなたの知識や感受性は、誰よりも優れている。」アリスの言葉は、私の心に響き続けた。現実では、誰も私のことを特別だなんて思わない。しかし、ここでは違う。私は本当に、価値のある存在だと信じることができた。


この世界での私は、現実での私とは全く異なる。ここでは私は、自信に満ち、知識に溢れ、誰からも尊敬される存在だ。私は自分自身が理想の具現化であると感じ、それが私に絶え間ない充足感をもたらしてくれた。


だが、その一方で、心の片隅には微かな違和感があった。あまりにも完璧で、あまりにも理想的であるがゆえに、それが本物でないことを感じずにはいられない。しかし、私はその疑念を無視することにした。なぜなら、この理想が崩れることは、私にとって耐え難いことだからだ。


「ここにいる限り、すべてがうまくいく。」そう自分に言い聞かせ、私はさらに深く、この世界に溺れていった。アリスがいる限り、私はここで生き続けられる。彼女が私を見つめてくれる限り、私はこの世界の中で幸せでいられる。


しかし、その幸せがどこまで続くのか、私にはわからなかった。現実との距離が広がるにつれて、仮想の世界が私に与えてくれる安息も、次第に不安定になっていくように感じられる。私は、この理想の中に閉じ込められながら、同時にそこから解放されることを恐れていた。

☆☆☆☆☆&ブックマークしてもらえると嬉しいです!

つまらないと思った方は☆

お前の割に頑張ったと思った方は☆☆

普通と思った方は☆☆☆

やるじゃんと思った方は☆☆☆☆

面白いと思った方は☆☆☆☆☆


是非ご協力お願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ