表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

70/71

秘密

 窓の外を見下ろすと、薄暗い校庭にキャンプファイヤーの炎が揺れている。その周りには多くの生徒が集まっていて、賑やかな笑い声がかすかに聞こえてくる。そんな様子とは反対に、ただ一人で待っている教室は静かだ。


 あの話を聞いた後、強い衝動に突き動かされるようにチャットを送っていた。「キャンプファイヤーの時、話があるから1組の教室に来て欲しい」と。


 まさか自分にこんな行動力があるとは思わなかった。誰に似たのかと考えると一人だけ思いつくが、それはそれで不本意だけど。


 ガラガラと扉を開ける音がして、心臓がドクンと跳ねる。振り向くと入り口に彼女が立っていた。そして俺の方へ近づいてくると、目の前で足を止めた。


「亮太……話って、なに?」


 ドクドクと鼓動が早い。俺は心を落ち着かせるように大きく深呼吸をした。


 この気持ちを自覚したのはついさっきだけど、本当はもうずっと前から始まっていたんだ。

 メイドカフェで一緒に働いた時間。2人きりで話した夜。そして、秘密を打ち明けてくれたあの時。

 誰かの彼女になって2度と言えなくなってしまう前に、どうしても伝えたい。

 俺は拳を握りしめた。




「好きです。俺と付き合ってください」

 



 彼女は驚いたように目を丸く見開いた。

「本当に言ってる……?」

「こんなこと冗談で言わないだろ」

「それもそう、だね」

「返事を聞かせてくれないか……姫野」

 俺の言葉に、姫野は微笑んだ。

「うん、私も亮太のことが好き……!」


 ずっと友達だと思っていた。でも姫野が秘密を話してくれたから、俺達は友達以上の深い絆を結ぶことができた。かっこいいところも、可愛いところも、姫野のいいところ全部を守っていきたい。


「大切にするよ」

「私も大切にする……って、やっぱり照れるね」

「まあ、そうだな……」

 胸がむず痒くて、でも嫌じゃない。姫野もきっと同じ気持ちな気がする。

「特別な今この瞬間の気持ちを宝物にしたいよね。だから……」

 そう言って、自分の口元に人差し指を当てる。

「この時間は2人だけの秘密だよ?」

これで本編完結です。長い間、お付き合いいただきありがとうございます。

今後はその後の話を1つ更新予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ