迷路
君の眼差しと指先が
ネットように伸びた体液に絡み
高まる鼓動より
速度をあげて
迷路に迷い込む
闇を否定するような蛍光灯が照らし
画一化の象徴となった道を歩き
上位にあがる検索結果に案内されて
代り映えのしない動画で時間を潰し
思考停止を促す過剰なサービスで
終日 イキ果てる。
入り口を忘れている君は
此処のだれが何処なのか
わからなくて
気づいたら
見下ろした大地は見上げた空に変わり
空の中の太陽は氷河で覆われ
波打つ海は八千度まで上昇して
人は曖昧な思考を曖昧な脳から離し
部屋の中は膨らんだ手のひらで
いっぱいになってた。
そして
君の瞳に映る君の鼻先と
その先にある液晶画面と
地球臭い空間が
出口となって いま
君はここにいる。