まとめ
おおっ、訳し切れた……
不安でしたが、なんとかなるもんですね。
これでようやく二人、
完訳には何年かかることやら。
最後に、ワシの個人的な劉淵評です。
・戦闘 ★★★★★★★ 7
劉元海伝には書かれていませんが
司馬騰戦で彼の用いる
拓跋部の将に幾度か負けており
皇帝に即位した後は前線に立たなくなるので
評価が難しいところですが……
(※拓跋部は強いです)
八王の乱に乗じて瞬く間に
最大勢力に躍り出る軍団統率力は
やはり並々ならぬモノがあるのでは。
列伝の最初の方で巨躯、長い腕、怪力、
弓術に長ける等の記述があるので
個人的な戦闘能力も高そうです。
実働年数の短さと拡げた領土の規模は
孫策と同等クラスと判断しましたが
直接兵率いてる描写が少ないので
★7という評価にしました。
・戦略 ★★★★★★★ 7
幼い頃から英邁・聡明、
これは史家の常套句みたいなものですが、
文武、いずれかしか収めぬは卑しき事!
と断じる勤勉、かつ努力の人です。
優れた素質にあぐらをかかずに
きちんと伸ばしてった印象。
戦場に一度も立っていない段階で
司馬炎や王渾らがその能力を
絶賛しているという事は、
才智の方を評価していた筈。
漢の求心力を利用して
独立や即位の大義名分としたのが
上手だなと思いました。
以降出てくる異民族の皇帝は
いわばみんな劉淵の模倣です。
異民族界隈において、
劉淵は、NPBから最初に
メジャー行きを表明した
野茂英雄のような存在でしょう。
(成漢は……?)
・内政 ★★★★★★★ 7
プラス評価になるのは
北部都尉に任命された時の
寛大かつ質素倹約な沙汰の様子、
また、離石で飢饉が起きた時の対処法です。
描写は少ないにしろ、
統治者としても一級の能力を
備えていることが窺えます。
恩赦を出しすぎなのが少し気になりますが。
・人格 ★★★★★★★★ 8
野獣のような
王弥・石勒を手懐けている時点で
すごいことなんじゃないでしょうか。
勤勉で義理堅く、立ち振る舞いは模範的、
同族からの支持は圧倒的で
太原の王氏ら同郷人も絶賛するも
異民族差別から出世の機会を得られず。
その悲嘆を吟じる場面や、
晋から独立しようとする一方で
司馬潁との義理を果たそうとして
長老格に窘められちゃう場面などに
垣間見える彼の人間臭さが、
ワシは大好きです。
基本、義理堅いお人柄だったんだから、
司馬炎が樹機能戦や征呉の戦で
劉淵使ってたら、晋朝に反旗を翻したりは
していなかったと思います。
出自は匈奴、ハートは漢民族という
矛盾する二つの感情と境遇に揺れる様は
どことなく主人公っぽさがあり……
返す返すも、彼があと
20年遅く生まれていたらなぁ
と思ってしまいます。
ゲームの三國志っぽく査定すると
統率 80〜87
武力 83〜90
知力 75〜82
政治 69〜77
魅力 83〜90
生年251(推定)
登場265(魏が滅び、司馬昭と会った年)
没年310
・弓兵、騎兵が得意
・匈奴関連で優遇
・相性は劉備寄り
・親愛は王渾・王済・李憙・王弥・劉邦
というイメージです。
漢王朝を40年ぶりに復活させ
乱世の引き金を引いてしまった
遅咲きの英傑、劉元海載記でした。




