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淡々晋書  作者: ンバ
第百一、劉元海載記
86/313

十二、玉璽拾っちゃった

12.

永嘉二年,元海僭即皇帝位,大赦境內,改元永鳳。以其大將軍劉和為大司馬,封梁王,尚書令劉歡樂為大司徒,封陳留王,御史大夫呼延翼為大司空,封雁州郡公,宗室以親疏為等,悉封郡縣王,異姓以勳謀為差,皆封郡縣公侯。太史令宣于修之言於元海曰:「陛下雖龍興鳳翔。奄受大命,然遺晉未殄,皇居仄陋,紫宮之變,猶鐘晉氏,不出三年,必克洛陽。薄子崎嶇,非可久安。平陽勢有紫氣,兼陶唐舊都,願陛下上迎乾象,下協坤祥。」於是遷都平陽。汾水中得玉璽,文曰「有新保之」,蓋王莽時璽也。得者因增「泉海光」三字,元海以為己瑞,大赦境內,改年河瑞。封子裕為齊王,隆為魯王。


(訳)

永嘉えいか二年(308)、

元海は僭称して皇帝の位に即き

境域内で大赦を行い、

永鳳えいほう」と改元した。


漢の大将軍の劉和りゅうか

大司馬として梁王りょうおうに封じ、

尚書令の劉歓楽りゅうかんらく

大司徒として陳留王ちんりゅうおうに封じ、

御史大夫ぎょしたいふ呼延翼こえんよく

大司空として雁州郡公がんしゅうぐんこうに封じ、

宗室は直系も傍系も同等に扱われ

悉く郡県の王に封じられた。


異姓でも、勲功や謀の著しい者は

皆、郡県の公侯に封じられた。


太史令たいしれい宣于修之せんうしゅうしが元海に述べた。


「陛下は、龍が興り、おおとりが翔けるかの如く

あまねく大いなる天命を

お受けになられました。


しかし、旧晋はいまだに滅んでおらず

陛下は貧賤の地(離石?)におわしますが

紫宮しきゅう(皇居)をこの地にうつされて

その上で晋の氏族をかれれば

三年を待たずして必ずや

洛陽を奪取できましょう。


(晋は)蒲子ほし崎嶇きく(苦難)し

安寧を久しく保てますまい。


平陽へいようの運勢には紫気がありまして

かつ陶唐とうとう氏(ぎょう)の旧都であり、

願わくば陛下におかれましては

上は乾象けんしょう(天運)をお迎えになられ、

下は坤祥こんしょう(地運)に協和なさいますよう」


こうして都は平陽に遷された。


汾水ふんすいの中で玉璽ぎょくじを手に入れると

「有新保之《新有りて之を保つ》」の文字が刻んであった。

恐らく、王莽おうもうの時代の玉璽であろう。


元海は入手した玉璽に

「泉海光」の三字を加えて

自己の瑞祥と為すと、

境域内で大赦を行い

改元してこの年を「河瑞かずい」とした。


子の劉裕りゅうゆうを斉王、

劉隆りゅうりゅうを魯王とした。




(註釈)

宣于修之せんうしゅうしのセリフの訳が

微妙に自信ありません。



日の出の勢いの劉淵は皇帝に即位し

宗族を王に、有力臣下を公侯に封じ

晋の天下がいよいよ

終わりに近付いている事をアピール。



さらに汾水で玉璽を拾います。

孫堅そんけんの時と似たエピソードです。

(孫堅が拾ったとされるハンコとはまた別物)


このハンコを作った王莽おうもうは、

前漢と後漢の間に割り込んだイレギュラー。


漢の再建者を謳う劉淵にとって

彼のやった事を抹消するのは

験担ぎにちょうどよかった。



劉淵りゅうえん 元海げんかい


名前にさんずい入ってるし、

生まれた時の逸話からして

滝と魚が出てきたりするので

劉淵は「水」とかかわりが深いのです。


たまたま拾った玉璽に

「泉海光」と書き加えたのも

そういった理由からでしょう。


漢は「火徳」の王朝なので

それを終わらせた魏は「土徳」、

それに取って代わった晋は「金徳」、

晋を打倒せんとする匈奴漢は

「水徳」ということにもなります。


晋を倒すのには最適でも、

火徳の漢を継ぐ上では

水属性はなんだか

相性が悪そうに感じられます。


5代目の劉曜も

同じことを考えたのか、後から

国号を「趙」に改めてしまいます。


漢王朝、滅亡。


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