四十四、うつろうもの
44.
秋七月,增封食郾、臨潁,并前四縣,邑萬戶,子弟十一人皆為列侯。帝勳德日盛,而謙恭愈甚。以太常常林鄉邑舊齒,見之每拜。恆戒子弟曰:「盛滿者道家之所忌,四時猶有推移,吾何德以堪之。損之又損之,庶可以免乎!」
(訳)
秋七月、
食邑として郾と臨潁を加封され
以前の四県と併せて
食邑は万戸となり、子弟十一人は
皆列侯に封じられた。
宣帝の勲功と徳は
日に日に盛んとなった。
しかし、彼の謙虚で恭しき態度は
一層甚だしきものとなっていった。
太常の常林は同郷の旧臣であり、
宣帝は彼に見えるたび、拝礼していた。
宣帝はいつも、子弟を戒めて
こう言っていた。
「勢い盛んで、満ち足りることは
道家の忌むべき所である。
四季ですらなお
移ろいゆくものであるのに
ましてや吾がどうして
このことに堪え得るだろう。
抑損の上に
また抑損を重ねることが
破滅を免れ得る、最善の道なのだ」
(註釈)
おお、かっけぇ…………
季節すら移ろうのに
私が移ろわずにいられようか──
「軍事には5つの大要がある」の
次くらいに名セリフです。
出る杭は打たれることを
司馬懿はよく弁えていたのです。
孫策もこれくらい慎重なら
一足早い南北朝時代が
来てたかもしれないのに。




