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淡々晋書  作者: ンバ
第一、宣帝紀
31/313

三十、一年あれば十分です

遼東りょうとう公孫淵こうそんえんが謀反!


しかし、はっきり言って

司馬懿の敵じゃありません。

30.

及遼東太守公孫文懿反,徵帝詣京師。天子曰:「此不足以勞君,事欲必克,故以相煩耳。君度其作何計?」對曰:「棄城預走,上計也。據遼水以距大軍,次計也。坐守襄平,此成擒耳。」天子曰:「其計將安出?」對曰:「惟明者能深度彼己,豫有所棄,此非其所及也。今懸軍遠征,將謂不能持久,必先距遼水而後守,此中下計也。」天子曰:「往還幾時?」對曰:「往百日,還百日,攻百日,以六十日為休息,一年足矣。」


(訳)

遼東りょうとう太守の公孫こうそん文懿ぶんい公孫淵こうそんえん

が反逆するに及んで

宣帝は召し出され、都を詣でた。


天子は言った。


「この件については、君の手を

借りるほどのものではないのだが

必ずや勝利したい事案であり、

故に、君に頼みたいのだ。


君がはかるに、公孫淵は

どのような計画を立てているだろうか?」


対して言った。


「城を棄てて、先に逃げるのが上計です。

遼水りょうすいに拠りて、大軍を拒ぐのが次計です。

坐して襄平じょうへいを守れば、

すなわちとりことなるのみです」


天子は言った。


「(公孫淵は)その計のうち

いずれを出してくるであろう?」


対して言った。


「察しますに、賢明な者であれば

彼我(の戦力)を深く度る事が出来、

戦う前に城を棄てる所でありましょうが、

この点は、彼の考えの

及ぶ所ではございません。


今、懸軍けんぐんが遠征すれば

久しく持ち堪えることはできない

と考える筈ですから、

確実に、まず遼水にて拒ぎ、

然るのちに城を守るでしょう。

これは、中下の計

(中策と下策の折衷案)です」


天子は言った。


「往復にどれほど時間がかかる?」


対して言った。


「行きに百日、帰りに百日、

攻めに百日、六十日は休息にあてます、

一年あれば十分かと存じます」




(註釈)

「往百日,還百日,攻百日,以六十日為休息,一年足矣。」


え、やだ、カッコいい……♪


もう、やる前からわかる。

こんな予知能力めいた洞察力を持った

化け物に、公孫淵が勝てるわけがない。



遼東は、「はるか東」という

字面からもわかるように、

中国の東の果てのあたりで、

朝鮮半島に近いところです。


諸葛亮の死後はヒマそうな司馬懿でしたが

公孫淵こうそんえん、字は文懿ぶんいの討伐により、

再び脚光を浴びることになります。


晋書は唐の時代に書かれたので

高祖の「李淵りえん」の避諱ひきによって

公孫()とは表記できません。


なので、あざな表記で

「公孫文懿(ぶんい)」と書かれますが、

あざなの方も司馬懿の諱と被るという

おかしな事態になっています。


同じ理由で、劉淵りゅうえん

劉元海りゅうげんかい」とあざなで書かれます。


夏侯淵かこうえんも晋書に出てきてたら

夏侯かこう妙才みょうさい」と書かれる筈。


あと国淵こくえんも(もういいぜ!

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