表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
淡々晋書  作者: ンバ
第百五、石勒載記下
175/313

百十九、古代聖王との比較論

119.

勒因饗高句麗、宇文屋孤使,酒酣,謂徐光曰:「朕方自古開基何等主也?」對曰:「陛下神武籌略邁于高皇,雄藝卓犖超絕魏祖,自三王已來無可比也,其軒轅之亞乎!」勒笑曰:「人豈不自知,卿言亦乙太過。朕若逢高皇,當北面而事之,與韓彭競鞭而爭先耳。脫遇光武,當並驅于中原,未知鹿死誰手。大丈夫行事當礌礌落落,如日月皎然,終不能如曹孟德、司馬仲達父子,欺他孤兒寡婦,狐媚以取天下也。朕當在二劉之間耳,軒轅豈所擬乎!」其群臣皆頓首稱萬歲。

(訳)

石勒は高句麗こうくり

宇文屋孤うぶんおくこの使者を饗応し、

酒宴がたけなわとなると

徐光に対してこう言った。


「朕を、いにしえよりの基盤を開いた

君主と比等すると、如何であろうか?」


徐光は応対した。


「陛下の神の如き武勇と籌略は

高皇帝(劉邦)よりも優れておいでで

卓犖たくろう(卓抜)した雄芸は

魏祖(曹操)をも超絶しておられます。


三王以来比べられる者はなく、

陛下こそは軒轅けんえんぐ御方と

申せましょうな」


石勒は笑って言った。


「人がどうして

自らを知らぬという事があろう

(俺は自分をよく知っている)、

卿の言葉はいささか行き過ぎだ。


朕がもしも高皇帝に逢ったなら

北面してこれに事え、韓信かんしん彭越ほうえつ

鞭を競い、先を争うだろう。


もしも光武帝(劉秀)と逢ったなら

(彼と)中原を並走して、

※鹿が誰の手に死するかはわからぬ。

(※中原に鹿を逐う=天下を争う。

やり合ったらどっちが勝つかわからない)


大丈夫が事を行う際には

礌礌落落(豪放磊落)、

日月のように皎然と

行うべきであって、

曹孟徳や司馬仲達父子のように

他家の孤児(後漢の献帝)や

寡婦(曹魏の郭太后)を欺き、

狐のように媚びて

天下を取るような真似は終ぞせぬ。


朕は二劉(劉邦と劉秀)の

間にあるだろうというのみで

軒轅にどうして擬えられようか」


石勒の群臣はみな頓首し

万歳を叫んだ。


(註釈)

有名なセリフですが

晩年のものだったんだねぇ。


石勒の中で、高皇帝・劉邦は

超えられない存在であるようです。

戦ってみたいというよりは

部下になって働いてみたいと。

石勒は、劉邦のファンなのだ。


もし韓信かんしんが斉で独立してたら

石勒と似た感じになりそうです。



光武帝・劉秀は、やりあったら

どっちが勝つかはわからない──

という、かなり高い評価。


石勒がもし胡族流のままだったら

割と新末の赤眉軍に近いと思う。

ので、早めに漢胡融和政策に

踏み切れるかがカギ。

并州がホームの石勒が、

先に漁陽や上谷を傘下に入れられるか?

その場合、呉漢ごかんが石虎の役をやる。



曹操と司馬懿・司馬師・司馬昭は

孤児や寡婦を騙して天下を取った

卑怯者だと述べています。

「やり方が俺とは合わない」

のであって、能力まで貶していません。


曹操はまだ、一番近代の

為政者のお手本に当たる人だもんね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ