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七十七、天下の悪は一なり
77.
祖逖牙門童建害新蔡內史周密,遣使降於勒。勒斬之,送首于祖逖,曰:「天下之惡一也。叛臣逃吏,吾之深仇,將軍之惡,猶吾惡也。」逖遣使報謝。自是兗豫間壘壁叛者,逖皆不納,二州之人率多兩屬矣。
(訳)
祖逖の牙門の童建、新蔡の内史の周密が
使者を遣って石勒に降伏しようとした。
石勒はこれを斬り、首を祖逖に送って
このように言った。
「天下の害悪とは同一である。
叛いた臣下、逃げた官吏というのは
吾が深く忌み嫌うもの。
将軍の害悪は、吾の害悪でもあるのだ」
祖逖は使者を遣って謝意を報せた。
この事から
兗州・豫州間の塁壁で叛いた者を
祖逖は一切受け入れなくなり、
二州の人々の多くが
(後趙側・東晋側の)両方に属していた。
(註釈)
怖いもの知らずの石勒でも、
祖逖は極力刺激しないようにしてますね。
王弥のときも王浚のときも、
下手に出ることで
偽りの友誼をアピールしてました。
そろそろやられる側も気付くべき。
美談になってる陸羊の交わりも、
実態はこんな感じでしょ。
石勒も、祖逖が死んだとたんに
てのひらギュイイイインよ。




