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淡々晋書  作者: ンバ
第百四、石勒載記上
138/313

五十八・五十九、いよいよ王位へ

58.

河西鮮卑日六延叛于勒,石季龍討之,敗延于朔方,斬首二萬級,俘三萬餘人,獲牛馬十餘萬。孔萇討平幽州諸郡。時段匹磾部衆饑散,棄其妻子,匹磾奔邵續。曹嶷遣使來聘,獻其方物,請以河為斷。桃豹至蓬關,祖逖退如淮南。徙陳川部衆五千餘戶于廣宗。


(訳)

河西かせいの鮮卑の日六延じつりくえんが石勒に叛いた。


石虎がその討伐に当たり、

朔方さくほうにて日六延を破って

二万余の首級を挙げ、

三万余人を俘虜とし、

牛馬十万余を獲得した。


孔萇は幽州の諸郡の平定に当たった。


この時、段匹磾だんひつていの部衆は

飢餓によって離散してしまっており

妻子を棄てた段匹磾は

邵続しょうぞくのもとへと落ち延びていた。


曹嶷そうぎょくは來聘の使者を遣わして

方物(名産品)を献上するとともに

(黄)河を以ての(領土の)分断を

要請してきた。


桃豹とうひょう蓬関ほうかんまで至ると

祖逖そてきは退却して淮南わいなんへと向かった。


陳川ちんせんの部衆五千余戸を広宗へ移した。



(註釈)


石勒も化け物ですが、

石虎もやはり恐ろしく強い!


斬首二万、捕虜三万ってことは

相手少なくとも五万はいたってことなのに

一捻りにしちゃっています。


まだ25歳? なのに、

一廉の将の風格が漂っている。


劉琨を殺してしまった段匹磾だんひつてい

食糧難でヘロヘロになり、

妻子を捨てて邵続しょうぞくのもとへ。


子を捨て、心を失ってまで

この世に何を望む……(ケンシロウ


この後、もうちょっとだけ粘ります。



難敵祖逖は桃豹とうひょうの攻撃を受け

いったん汝南へ引きましたが

この後逆襲してきます。

(石勒載記下にて後日)


59.

石季龍與張敬、張賓及諸將佐百餘人勸勒稱尊號,勒下書曰:「孤猥以寡德,忝荷崇寵,夙夜戰惶,如臨深薄,豈可假尊竊號,取譏四方!昔周文以三分之重,猶服事殷朝;小白居一匡之盛,而尊崇周室。況國家道隆殷周,孤德卑二伯哉!其亟止斯議,勿復紛紜。自今敢言,刑茲無赦!」乃止。


(訳)

石虎が張敬ちょうけい・張賓及び諸将佐百余名と

石勒に尊号を称することを勧めると、

石勒は書状を下して述べた。


「孤は醜猥で徳もすくなく、

かたじけなくも尊崇と恩寵とをにない、

夙夜、深淵に臨む(薄氷を踏む)かの如くに

恐れ戦いているというのに、

どうして仮初めにも尊号を盗み取り

四方から譏謗きぼうを受けるなどできようか!!


昔、周の文王は天下の三分のうち

重きを有しながらも

なお殷王朝に服属した。


小白(姜小白)は、

一国を匡正する盛強さを誇りながら

それでも周室を尊崇した。


してや、国家の道は殷周よりも隆興し

孤の徳は、二伯よりも劣っているのだぞ!


速やかにこのような議論は止め、

ふたたび紛紜ふんうんすることのないように

(もうゴチャゴチャ言うな)。


今より、自ずから敢えて

言おうとする者は、容赦無く刑罰に処す!」


こうして、沙汰止みとなった。



(註釈)

遂に。


16年前、奴隷に身を窶していた男が

ついに帝位を望まれるまでになりました。


こういう時は何回か断ってから

即位するのが習わしです。



よくわからん超マイナー少数民族の出身で

政界とのコネ0、しかも奴隷にまで落ち

裸一貫のスタートから、よくぞここまで。


普通あり得ないですが……

「普通」は石勒を表現する上で

最も似つかわしくない言葉でした。


まだまだ道なき道の、道半ば!!

頑張れ石勒!!

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