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その化け物は特別強いわけでもない

作者: ギャギャイギャス

 その化け物は特別強いわけでもないし、鋭い爪や牙を持ち合わせてるわけでもなかった。大きさだって犬よりも小さく動きだって速いと言える程のものではない。

 しかしそれが化け物である事に変わりはなかったし、野生の強みを感じさせる凄みは持っていた。

 その化け物と相対する事は分かっていた。このあたりを歩けば出くわすのは妥当であり珍しい事でもないのだ。

 しかしながらタイミングが良くなかった。私は疲労していたし、しばらく食事もとっていなかった。さらに普段なら携行している武器となるようなものを、この時はどこに置いてきたのか持ち合わせていなかったのだ。

 例え強くない化け物であっても油断するべきではないという当たり前の事。その事を失念していたせいもあり、私は化け物に先制攻撃を受けたのだった。

 しかもやつらは三匹だった。ありえない事ではないのだが、あまり群れるような化け物ではない筈のやつらが三匹で私を囲んだ。

 膝を付いた私はその化け物達を見てヒヤリとした。

 一匹であれば疲労してようが素手だろうがそれほど大した事ではない。しかし今は前述したようにタイミングが良くない、さらに化け物の先制攻撃で体勢を崩された。

 すぐさま次の攻撃が私を襲う。化け物三匹の体当たりだ。私は一つも避ける事が出来ずに直撃を喰らってしまった。

 よろめく私だがこのまま反撃しないわけにはいかない。相手は大した事のない化け物だ。一撃で一匹づつ仕留めれば良い。

 さらに追撃を仕向けてきた三匹のうちの一匹を蹴り飛ばそうと力を込めて脚を振った。しかしそれは化け物にぶつかる事はなく空を切った。

 空を切っただけならともかくバランスを崩した私は地面に強くひっくり返った。そんな瞬間を化け物が見逃すはずもなく追撃が繰り出される。

 さらにさらに何度か化け物の攻撃を受けた。気が付かないうちに私の肌は何箇所も切れて血が流れていた。

 さすがにまずい。大した事のない化け物にやられるのは絶対に避けたい。出来ればとんでもない化け物にやられたいものだ。

 などと、冗談を思っている場合ではなかった。私は格好など気にせずにしゃがみ砂を掴んで化け物に投げたり、近づけないように腕を思いっきり振り回したり、隙を見て化け物を捕まえて他の化け物に投げあてたり。

 それはそれはとても不恰好な闘いであった。

 満身創痍である。傷口は深くないが何箇所あるか分からない。血のしみこんだ服はボロボロになりながら肌に張り付いている。脚や腕に受けた打撃は黒い痣となっている。拳は強く握れないし、脚は歩くのがやっとと言ったところだ。

 しかしながらわたしはその三匹の化け物をやっつける事が出来たのだった。

 経験値を3ポイント手に入れた。

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