04
周囲を探索し一番初めに見つけた村へと立ち寄った俺とロベリアはとりあえず泊まれる宿を探し夕食を食べた。ちなみに、これがこの世界に来て干物や保存の効く硬いパン以外で俺の食べた初の料理らしい料理と言える。メニューは簡単な豆のスープと何か分からない肉のステーキだったが、味付けは濃くなく量も比較的多めだったため十分満足できた。ロベリアも店長?マスターと言えばいいのだろうか?にサービスで出してもらった葡萄のような果物を凍らせたデザートを食べご満悦でこれからの異世界生活で結構重要な部分を占める食事についてとりあえずは安心できた。
そしてここからが本題、宿屋の店主を通じて村長との面会の約束を取り付けた俺たちは日も沈みあたりが闇と静寂に包まれた頃村長宅で勇者ローズとこの国についての情報収集を始めたのであった。
「いやあ、この村に外の国から客人が来るなど久々でして…ろくなもてなしも出来ず申し訳ない」
「い、いえこちらこそ会っていただいただけでも十分ですよ」
「これこはこれは…それで、確かこの国について知りたいとのことでしたな」
「そ…そうです…」
「うーん、まずロベリー様とゼンスケ様でしたかな?」
「はい…」
「うん、そうだよ!」
村のお偉いさんとの面会に多少の緊張を持って臨んでいる俺に対し、その横に座る魔王からはその見た目相応の元気で可愛らしい返事が返る。そう、ロベリア…こいつはさっきから猫を被っているのだ。まあこの見た目であんな偉そうな喋り方で来られたら向こうも不審に思うだろうし判断的には間違えていないのだろうけれど、こんな機会今までの人生で経験してこなかった俺にとっては頼れる存在に頼ることができない最悪な状況だ。
「ではまず御二方に質問しますが、どちらの国の出身で?」
「サルビアだよ!ね?お兄ちゃん!」
「……!お、おうそうだなロベリー」
「おぉ!サルビアの勇者ローズマリー様はローズ様と御兄妹!それならば私どもとしても最大限の協力は惜しみませんとも!」
「そ、そうですか!良かった…」
これはロベリアに助けられた。いくら猿芝居をしていると言ってもそこは魔王、どうやら思った以上に頼れるようだ。
「それで、まずは何を知りたいですかな?」
「そ、それじゃあ…えっと、勇者ローズ…様?のことからで」
「はい、わかりました…………」
「くあぁ!疲れた!ゼンノスケ我の肩を揉むことを許そう!」
「いや、俺達触れられないし…」
「だあーっ!!!不便極まりない!これではまるで加護なんかではなく呪いはないか!」
宿の部屋に帰って早々ロベリアはベッドに転がりゴネ始めた。
「しかし、出身はサルビアだなんてデマカセを思いついたな」
「ふん、他にも数人勇者同士が血縁関係という国があるがそのどこも基本的には仲が良い。こう言った場合は上手く利用できると思ったまでだ」
「へえ、やっぱり伊達に魔王名乗ってるわけじゃないな。凄いぜロベリア!」
「おっ、珍しくゼンノスケが我を褒めるのう?良い良い、もっと褒めよ讃えよ」
……めちゃくちゃ調子に乗ってやがる…でもまあここは素直に褒めておくか。
「偉い偉い、流石は俺のご主人様だ。」
「うむ!苦しゅうないぞ!」