表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/49

Chitose Viewer 01

 ウチの近所にあるスーパーオオタキで、買い物を済ませた私。大きなエコバックを片手に、赤い傘をさして浮かれ気味に帰路についている。


 昼前くらいから、ずっと机に向かってネームを描いていた私のスマホにメールが入ったのは、夜の帳が落ち始めた頃だった。


 そういえば、お腹空いたなぁ。朝からたこ焼きしか食べてないなし……


 そんな事を思いながら、開いたメール。


『今、オニオン通りにいる。コレから戻るけど、何か必要な物あるか?』


「オニオン通りかぁ……フフフッ♪」


 私は思い付く限りの日用品と消耗品、そして私を置いて行った意趣返しを込めて買い物リスト作成し、メールで返信した。


 さて、これで帰ってくるまで二時間はかかるだろう。


 私は急ぎ身支度を整えてから、スーパーへと買い出しに向かったのだった。

 昨日はすっかり『片付けられない女』の烙印を押されてしまったけど、ここらで一つ汚名返上の名誉挽回。手作り料理で彼を出迎え、女子力の高さをアピールしようという作戦だ。


 街灯の少ない薄暗い街路地とは対照的に、トモくんの喜ぶ姿を想像し胸踊らせる私。


「こんばんは、オネェーさん」

「…………ちっ!」


 と、そんな幸せ気分をブチ壊してくてた三人の人影に、思わず舌打ちが出た。


「なんの用? 私はガキと遊んでいるほどヒマじゃないんだけど」


 そう、薄暗い街路地を歩く私の前に現れたのは、いつぞやのナンパ男の三人組み――

 いや、四人か……? 見覚えのあるアホ面の少し後ろ。暗くて顔は見えないけど、ガタイのいい男が立っていた。


「何の用って、決まってんだろっ! この前の礼、たっぷりと、ぐがっ!?」


 鼻ピー男が一歩前に出た瞬間、側頭部めがけて上段回し蹴りを叩き込んだ。


 うん! 会心の一撃♪ 


 一撃KOでダウンする鼻ピー男を前にして、呆気に取られるグラサンを睨みつけ、畳んだ傘の先端をおデブの喉元に突きつけた。


「殴る前に一つ忠告してあげる。私、コレでも空手二段だから」

「ドタマ蹴り飛ばしといて、何が『殴る前に――』だっ!? ざけんなっーっ!!」


 私に睨みつけられて、後ずさりながら声を上げるグラサン男。


 たくっ……ビビるか意気がるか、どっちかにしなさいよ。


 そんな複雑なお年頃の青少年達の代わりに、後ろで控えていた男が前に出てきた。


 おそらく、彼らの用心棒か何かだろう。

 とゆうか、どっかで見た気のする顔だ……


 歳の頃は四十前後くらい。身長は私より頭二つは大きく筋肉質……おそらく何かしらの格闘技経験者だ。


 ならば――


「はあぁーーっ!!」


 私は不意打ち速攻の先手必勝とばかりに、男の鳩尾に前蹴りを入れる。そしてそれを足掛かりにジャンプして、飛び後ろ回し蹴りを横っ面に叩き込んだ。


 よしっ! 再び会心の――


「えっ?」


 片膝を着いて着地すると同時に、私は思わず目を見開いた。


「ふっ……女の蹴りにしては中々だな」


 大塚○夫さんみたいなシブい声を発して、アゴをさすりながら笑み浮かべる大男。


 そ、そんな……どっちの蹴りもクリーンヒットしたはずなのに、よろめきもしないなんて……


 私は、急いで体勢を立て直そうと立ち上が――


「がはっ!?」


 立ち上がった瞬間だった。


 一気に間合いを詰めた大男の太い腕が、私のアゴをすくい上げながらノド元にメリ込んだ。


 ラ、ラリアット……?

 思い出した。この男って、確か元プロレスラーの――


 ノドを圧迫され呼吸の止まった私の意識は、吹き飛ばされた浮遊感に包まれたまま深い闇へと落ちて行った……


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一日一ポチお願いしますm(_ _)m
小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ