首領の必勝世界征服計画
首領「フゥーハハハハッ! 遂に賽は投げられた! 世界征服を開始する!」
幹部「承知いたしました。まずはどこから攻めますか?」
首領「うむ! まずは武器の調達だ!」
幹部「道理ですね。ご安心ください。基地内の工場はすでにフル稼働。武器は量産体制に入っております」
首領「何やってんの?」
幹部「ですから、武器の調達は――」
首領「バカ! 普通の武器でテイクオブザワールドしたらその辺の秘密結社と一緒じゃないか! ヨーヨーやミニ四駆で世界征服目指して日夜奮闘してる奴等だっていたんだぞ! 最近ではSNSを利用してレンジャーのアカウントを特定し、精神がへし折れるまで粘着する秘密結社までいる!」
幹部「じゃあ、どうするんですか」
首領「玩具」
幹部「は?」
首領「これからの武器は玩具でいく」
幹部「がん……なんですって?」
首領「おもちゃでいく」
幹部「レンジャーに負けすぎて遂におかしくなったんですか? 戦力大幅ダウンどころじゃないですよ。怪人達や戦闘員の士気にも関わります」
首領「いやいや私はまともだ。有史以来、ありとあらゆる秘密結社が現れては、消えていった。その原因を私は入念に研究し解明したのだ」
幹部「その結果がおもちゃですか?」
首領「うむ、そうだ。レンジャーは我らよりも数が極端に少ない。しかしあいつ等は我らと劣るとも勝らない科学力、何よりも資金力を持っている。これにはからくりがあると履んだのだよ」
幹部「それは……そうですね。確かに……」
首領「先日おもちゃ屋に行ったら――」
幹部「ちょっと待ってください。おもちゃ屋に行ったんですか? その黒ずくめのヒラヒラマント付けた格好で?」
首領「私はこの一張羅しか持っていない。そんなの当たり前じゃないか」
幹部「よく警察呼ばれませんでしたね……。イベントだと思われたのかな……」
首領「うむ……なんか猛烈な勢いで写真撮られてな。子供達に自撮り良いですか? なんて言われて意味不明な棒取り出してきて一緒に写真撮っちゃったりして――」
幹部「楽しかったんですね」
首領「うん、それでな。レンジャーの剣を自費で買ってきたんだが――」
幹部「買ってきちゃったんですか。おもちゃを」
首領「でな、わかったんだよ。あいつ等はスポンサーから資金援助してもらっているから、次々に新しい武器や巨大ロボットを投入出来るんだと」
幹部「それで?」
首領「我らもスポンサーを募っておもちゃでレンジャーと戦えば勝てるんじゃない?」
幹部「もういいよ」