第五話 復活の城戸霊士
「じゃあ行くか!」
「やっと本格的に霊士の!」
「体を探す旅が始まるのね!」
「いや、青山総合病院に行こう!」
「青山総合病院?」
そこは確か以前。
ほのかが入院していた所。
「まさか?」
「また、ほのかの身に何か?」
「いや!」
「実は前に行ったときに見たんだ!」
「大きな病院にもかかわらず空室があったので!」
「気になって覗いたら!」
「俺がいた!」
「空室に見せかけていたのは!」
「なんらかの理由があって隠しているのだろう!」
「裏の世界ではよくあることだ!」
「まだ隠してたのね!」
「言いたいことは色々あるけど!」
「生き返ることが先決ね!」
「早速向かいましょう!」
青山総合病院の霊士の個室。
「入れる?」
「自分の体だ造作もない!」
霊士は何の抵抗もなく自分の体に戻り。
そして城戸霊士は目を覚ました。
そして記憶を取り戻す。
「そうだ!」
「俺は依然霊能力者として!」
「悪霊退治を生業としていた!」
若くして実力のある霊士はある者からは慕われ。
ある者からは疎まれていた。
その中でもとりわけ霊士を疎んでいたのは。
霊士が来るまではNO.1だったある女だった。
彼女も若くして実力のある霊能者だったが。
霊士とは意見が食い違うことが多く何かと対立していた。
「大月京子と言ったな!」
「良いも悪いもないわ!」
「この世の理に反するものは全て排除すべき!」
彼女は霊の意見など聞く必要は無いと主張し。
霊士は話が通じるなら、まずは話を聞いてやろうと主張していた。
その為、とかく対立していたのだ。
結果、霊士は良い霊のフリをした悪霊に騙され、命を落としかけた。
「あいつのいう事が正しかったのかもな!」
「霊士!」
「霊士!」
霊士がわれに返ると命が必死で呼びかけていた。
霊士の生還を喜びはしたものの。
ほのかの様に生き返ったとたん。
命の姿が見えなくなることを危惧しているのだ。
「せっかく生き返ったんだ!」
「少しくらいは余韻に浸らせてくれ!」
「見えるの?」
「修行を積んだからな!」
「じゃあ帰るか!」
霊士は荷物の中からお札を取り出した。
「吸引!」
「ちょ!」
「何よこれ!」
「準備が出来たら出してやる!」
命はお札の中に封印されてしまった。
「しばらくは辛抱しろ!」
「会話くらいなら出来るから!」
この病院は普通の病院だが霊能者協会の登録病院で。
わけありの者も受け入れてくれる。
一般患者に紛れて霊的ダメージを受けた霊能者も入院可能な貴重な病院だった。
費用は万一の為に協会に預けている個人資金から賄われる。
調べてみると残金は残り僅かだった。
「やばかったな!」
身寄りのない霊士の場合。
残金が尽きれば処分される。
戻ってみると以前住んでいたアパートにほ他の住人が住んでいた。
「今日は野宿して明日は不動産屋を回るか?」
「協会に行って金も借りて来ないとな!」
「なに、除霊をいくつか行えばすぐ返せる!」
「そんなところでいいか?」
「命?」
「何でもいいから早く出してよ!」