三話 出発
みっじかいです・・・
「ふむ。それはどういうことだ?お前にもあいつと同じことをするとでも思っているのか?」
「いえ。そうではないのです。そうですね、例えば僕が未来を知っているといったら信じますか?」
「信じる訳がなかろう。そのような妄言。」
「では、父上。あなたは今ショウヒ地方にある古い洞穴の調査をなさっていますね?」
「・・・なぜそれを知っている?機密情報のはずだが。」
「その洞穴の奥まで進むと祭壇があります。それだけは絶対に破壊しないでください。」
「その祭壇の破壊が私が危険要因になることと何か関係があるのか?」
「そうです。その祭壇に封印されているのは邪神。それに取りつかれたあなたはその意識をのっとられ僕が殺される結末につながってしまうのです。」
「・・・わかった。その祭壇が出てきたときには気をつけよう。」
僕は修練に励んだ。ひたすら、ただひたすらに。その途中で詠唱呪文による魔法の発動方法を編み出したり、武器や防具に魔術式を付与する方法を確立させたりもしたがそんなことは些細なことである。そんなこんなで早くも入学の時期が迫っていたのであった・・・
「若様。明日から学園でございますな。」
「そうだな。学ぶべきことはまだ多い。しっかりと学んでくるとするよ。じい。」
「本当に若様がこれ以上学ぶべきことがあるのかは少し疑うところですが・・・」
「そんなことはないさ。世界は知らないことであふれている。例え魔術や武術を収めたところでまだまだ知るべきことは沢山あるさ。それに、僕にはやらなければならないことがあるしな・・」
「我が家一同若様のことを応援していますぞ!」
「ありがとう。その言葉が励みになるよ。」
初めて着た制服とそして勇士の証である帽子を被りながら僕は鏡を見て思う。うん。我ながら言うのもなんだが似合ってる。というのもこの帽子、実は国に認められた研究者や冒険者、騎士しか被れないなかなかレアな代物なのだ。僕はその帽子を被ることを許された連中のなかでも最高クラスの功績を残したものしか被れない黒帽子を授かっているのだ。かなり誇れるものであるので積極的に被ろうと思っている。というか被ることで身分が広く知れ渡るということもあるので被っていたほうが得だ。そんな風にしていると日は暮れていたのだった。
朝起きるとすでに運び込まれていた荷物とともに僕はすぐに家を出た。今年は我が家の家格が一番高いために僕が総代として話さねばならないのだ。話すことは決めてあるが、それでも少しは緊張する。未だに前世の小物根性が残ってしまっているのは直さなければならないところのひとつだ。