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二話 求めるは--

私が転生した事実に気づいて早二年。ついに弟が森に棄てられてしまった。その日は朝になったらすぐ父上に呼び出されてこう伝えられた。

「お前に弟などいなかった。よいな。私の息子はお前だけだ。」

このときに私は思った。ああ。ついに始まってしまったのだな。DDの世界が。これでこの世界が野ゲームの中であることが証明されてしまった、と。




しばらくして私は自分の修行によりいっそう励みだした。というのも5歳のときに自分の運命を自覚してからというもの日々の魔力増強の鍛錬と剣の修行に貴族学などには励んできたのであるが、それだけでは足りないのではないかという危機感を抱き始めたのだ。たとえば主人公であるところの弟は現在6歳。森の主たる魔狼と生活しているころなわけで、そんな危険な空間に身を置いている彼はめきめきと実力を上げているだろう。何を隠そうDDにおいて一番の重要度を誇るのがこの森の中にいる期間通称「修行タイム」なのだ。この期間に彼はパワ○ロ的な修行を行い馬鹿みたいに強くなるのである。RTAなどでも最も重要視されるこの期間で、実際は運などではなく本気の生存競争の中で生きるこの世界の彼が強くならないわけがない。それこそ限界値まで強くなっていてもおかしくはない。それならば私は少なくとも彼がこの期間で成長できる限界点よりは強くなって置かないといけないのではないだろうか。なにせ彼が森から出てきてすぐ相手にするのはこの私であるのだから。私にはあと8年しか時間がないのだから。ああ、忘れていたがなぜ8年なのかの解説をしておこう。本編が始まる主人公の学園入学時の年齢が15.つまりはいまから10年であるのだが、その二年前にはすでに私の体に魔王が寄生しているのだ。これが厄介で主人公はそこそこ強くなっておかないと最初のボスが変身する連戦型という地獄に苦しむことになるのだ。だが、そこまでストーリーにのっとりたくはない。私は死にたくないのだ。寄生なんてもってのほかだ。自分が自分でなくなる気分を味わいたい人間などいないだろう。そうと決まれば即行動だ。善は急げと昔からいうものであるし。



「父上。お願いがあるのです。」

「ふむ。なんだ。」

「私にもっとすごい魔法の先生をつけてくださいませんか。」

「その年にしてそれ以上のものを望むか。今でも随分なものを学んでいると聞いているが。」

「はい。私はもっと強くなりたいのです。もっと。もっと。」

「その果てに何を望む?」

「わが国の繁栄を。」

「そんな美しく模っただけの言葉などではなく貴様の本心を言えといっているのだ。」

「・・・・生を。」

「ハハハ。これはいい。それだけ強さを望んだくせに最も渇望するのは生きることと来たか。」

「笑えないんです。父上。私にとって一番危険なのはあなたなのですから。」


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