Fな私じゃ駄目ですか?〜ロリコン疑惑の彼〜
街を歩けば多くの人が私…宗形浩子を見つめる。羨望、嫉妬…様々な感情を混ぜ合わせた視線だ。
何故ならば、私はFカップの大きな胸を持っているからだ。
要するに皆おっぱいの大きさに注目しているのだ。…顔?顔は可愛い。いや、むしろ綺麗目だ。よく大人っぽい美人と言われる。
高校の制服×Fカップのコンボは自分の思ったよりも鮮烈な印象を与えるらしい。だから、私は男に困ったことは無い。自分から告白することも無い。皆、私のFを狙って近づいてくる。そんな男達を嘲笑いながらお財布にする…いや、していた。過去形なのは…
現在私は真実の愛に目覚めているからだ。
私はターゲットである男…来島大輝をストー、じゃなくて、観察している。
来島はつい1週間前に転校してきた男だ。顔は…今までの男に比べたら格段に落ちるけど悪くは無い。
…何故そんな男に惚れたのか?あぁ、それは……
…っ!?
目の前には幼女を抱き抱える来島がいる。幼女も満更でもなさそうに喜んでいる。一見微笑ましくも感じる光景だが、私にはわかる。来島は男の顔だ。私の胸を見る男と同じ顔をしている。恐らく、ペタペタツルンツルンの胸で来島は興奮しているのだ!
あぁ、やっぱり!薄々勘付いてはいたけど…やっぱり来島って…ロリコンなんだわ!!
…くっ、どうすれば良いの?残念ながら私にロリ要素は皆無だ。仮にあった所でこのFが全てを台無しにするだろう…
落ち込みつつ、一旦その場を後にしようと観察をやめて歩き出す。その時、
「わぁ、見て!大きなおっぱい!!」
来島が抱えていた幼女が羨望に目を輝かせて私を指を指した。
「こら、レナ…!…ってあれ、宗形さん?」
「え、あ、うん…名前、覚えててくれたんだ…」
「同じクラスだからね、それに宗形さんって……色々と有名だし。」
おそらくFで有名なのだろう。彼は顔を赤くしながら色々とと誤魔化した。しかし、目線を逸らしたのはその一回だけで後は私の目と視線を合わせながら会話をする。…やはり、人と目線が合うのは嬉しい。
「なぁに?お兄ちゃん、このおっぱい大きいお姉ちゃんとお友達なの!?」
私のFをまじまじと見つめながら幼女は言う。それに「こら、レナ!失礼だろ!」と来島は幼女を怒った。そして、宗形さんごめんね、と代わりに謝る来島に「気にしないで」と軽く返す。謎の幼女の正体は妹だったのか…。じゃあ、あれはペタペタツルンツルンの胸に興奮してたのでは無くレナちゃんへの愛情を降り注いだ慈愛の目線だったのか。ごめんね、ロリコン疑惑をかけて。完全に私が穢れてたわ。
「私は、宗形浩子。君のお兄ちゃんとはクラスメートなんだ。」
レナちゃんの身長に合わせてしゃがみ話しかける。レナちゃんは、より近づいたFに目を向けて「私、レナ!」と元気に挨拶し始めた…所でコツンと音がした。来島がレナちゃんを小突いたのだ。「痛い!」とレナちゃんは来島に訴える。
「レナ、人と話す時は目を見ろっていつも言ってるだろ。」
……来島は言った。
レナちゃんは素直に「お姉ちゃん、ごめんなさい。」と謝り自己紹介を再開した。
……私が来島に惚れた理由、それは、初めて“私”を見てくれた人だからだ。胸では無い。私と目線を合わせて会話してくれた人…。だから、私は彼を好きになったのだ。
レナちゃんは“私”に視線を合わせて、お話している。だから、私のフッとした笑にも気が付いた。「お姉ちゃん?」
「ねぇ、レナちゃん。お姉ちゃんね、レナちゃんのお兄ちゃん…来島大輝君のことがだーーい好きなんだ!!」
だから、応援して?
レナちゃんはやったぁお兄ちゃんにお嫁さんが出来た!!と目を輝かせた。対して、来島は「え、え?」と目を白黒させてる。私は今まで来島とそんなに接したことは無い。だから、ナニコレ状態なのだろう。
でも…
私は全身全霊をかけFカップの胸をぶつける様に来島に抱き着く。そんでもって、美人と評される顔で満面の笑を浮かべた。
良かった。来島がロリコンじゃなくて…だって、耳まで赤くしてる…。
さて、これから始まるのはFを全面に押し出した戦略的アプローチだ!レナちゃんの応援を得た私は今日も愛しの来島をおとしにいく!!
真面目な来島はFに惹かれたと思いたくなく浩子ちゃんを避けるが、ぐいぐい来る浩子ちゃんに絆され陥落される予定。らーぶらぶ。