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物理学者がイカれる話です。

「一体、これは何だ・・・!?」


地球におけるエネルギー変動を観測し、統計したものを物理学へと投影する『物理的エネルギー統計学』を行っている【日扇(ヒオウギ)研究所】。

その所長の娘である日扇(ひおうぎ)夜月(よづき)は、父親の観測結果を見て驚きを隠せなかった。

何せ、今までろくな結果を見た事がなかったこの研究が、初めて、しかも凄い成果を出しそうなのだ。

父親の研究を、ここまで誇りに思ったことなどなかった。世界初の、『超能力の目覚め』の観測が、すぐそこで目に見える形で成功するのだ。


計器の針がカタカタと震える。そして、振り切れる。

「・・・やったぞ。」

まさか、と思ったが、開発者の父親が言うのだ、恐らくは間違いない。

「今、世界のどこかで?」

「ああ。超能力が、どこかで目覚めた。・・・私の研究は、成功したんだ!!!」




それから数日の間に、それは幾度か続いた。

夜月は驚いた。

ここまで連続で『目覚め』るとは。

・・・もしかして、何か善からぬことでもおこっているんじゃなかろうか、と不安になった。




私はどうやら、世の中で言うと『妄想癖』というのがあるらしい。確かに、勝手に極端な想像を張り巡らせ、勝手に緊張したりするが、それを『癖』と言われるのは何とも気に食わない。

それに、今回のこの胸騒ぎはただの『癖』だけのせいではない様な気がするのだ。

何かもっとこう、予感のような・・・。


予感のような、予兆のような何か。




・・・知りたい。もっと詳しく、深く。

父がその生涯を捧げてまで知ろうとする世界を、彼等超能力者たちの見ている世界を。


どうすれば、彼らを見つけて知れるのか。

彼らを知るために、探す眼が欲しい・・・!!




チカッと目の前が弾ける。

何だ、とても眩しく、だがその中に悦びに近いものを見いだした。

視界が、世界が歪んでいく。

そして倒れていく身体に気づいて、ああ、目眩だ、と悟った。

地に突っ伏す時の衝撃で少し内蔵が浮く。が、それがむしろ快感をもたらしていく。

私はマゾとか言われるタイプの人間なのか、と思うと、余計にゾワゾワとしてしまった。


そして、その痛み=快感の中に人影を見た。


「超能力者・・・☆」


見える、見える。

持つ者たちの姿が、次々と見える。

ああ、素晴らしい!!

「待っててね・・・快感(エクスタシー)☆」


マッドサイエンティスト?と化した私は早速旅支度。

父に『能力者分かったから連れてくるね☆』とだけ告げ、その日の終電の二つ前の電車に乗って、いざ、能力者の居る最寄りの街、札幌市へ。


「さあ、もうすぐだよぉ・・・☆」

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