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やはり鬱エンド。

閃光、次いで衝撃。

目眩と吐気とがいっぺんに私を襲う。

そしてフラッシュバックする、苦く辛い記憶。

「先生に褒められるとか、でしゃばんなや。」

「まじで調子こいてんじゃねぇぞ、このアマ!」

「読書ヲタクは大人しく引きこもってろよ!!」


・・・そうだ。私は読書が趣味の、地味な奴だ。

だがそのことで、誰かに迷惑などかけた事はないし、むしろ私はいない方が当たり前の影だった。


頭がかあっとする。目の前が白んで、熱くなっていく。

痛みが全身を駆け抜ける。それは体のものでなく、心のそれだ。

奥底から蠢いて、何かが這い出ようとしている。

自分ではない、何かが。




「たるみ・・・ちゃん・・・ッッ!?」

絶叫を通り越して無音の叫びを放った那須は、そのパッチリとした眼を見開き、涙を垂れ流して逃げようとしていたが、その腰は既に砕け、言うことを聞かないようだった。

「ナス・・・チャン・・・!!!私、思イ出シタノ。貴女ガ全部、仕組ンダッテ事・・・。」


「ごめんなさい!!私が悪かったわ!!!」

「デモ、モウ赦シテアゲラレナイミタイ・・・。私、コノ怒リヲトメラレナインダモノ・・・!」

最早彼女の眼に、希望の光は写っていなかった。


「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいねごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」


「一ツ良イコト教エテアゲル。

謝ルダケナラ、誰デモデキルノヨ?」


「あ・・・・・・。」

「サヨナラ、ナスチャン?」


涙の水滴がピチョンと、床に弾けた。




私は病室を飛び出し、病院から走り出す。

これで私はもう、普通ではいられない。

命を一つ、手にかけたのだから。




待て、と制止する声も聞かず、私は走り続けた。

クラクションが盛大に鳴り響く。



・・・クラクション・・・・・・?




バン。

衝撃と爆音で身体が軋む。世界が刹那の中で何度となく反転し続ける。



私はトラックに轢かれたのだ。

だがそれを私自身が気づくことはなかった。

肋骨が折れ内蔵から脊椎に貫通する、という酷い骨折の仕形だった。

天誅が下ったのか、死せずとも全身は麻痺した。

自我を失い、生きながら死んだ状態となってしまった私。

私は知らなかったのだが、世の中にはどうやら「死ねない」状態になる呪いというのがあるという都市伝説があるらしい。

不死身なんていうのは憧れる者も多いそうだが、私にとって、それははた迷惑な話でしかなかった。

手術中もどうやら、私は「殺してくれ」とうわ言を叫んでいたらしい。


まったく、嫌な話だ。

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