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俺はあいつの友人A  作者: インゲン豆
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第1話 出逢い を 眺める俺

俺と晁生の出会いはそんなに面白いものでもないが、強いて面白い点を挙げるとするならば、俺は晁生と対面する前に晁生とあっていたことになるということだ。



それはある高校の入試に無事合格し、一息ついた時だった。

「ふぅ、とりあえず合格か・・・よかった。」

とはいっても内心はとても嬉しかった。正直受かるか受からないかわからなかったからである。

この高校、不束ふつつか高校は、所謂普通の高校だが、一つの噂が飛び交っていたので、学校の教師ですらも、学力だけでは判断できないというものだったのだ。

「不束高校は、何か強大な力を持つバックがおり、特殊な能力がないと入学できないのではないか」

と、言うものである。

別に俺は本気で信じていたわけではない。しかし、受験生にはそういう言葉は重く響くものだ。

俺もそのためにたくさんの特殊能力が自身に眠っていないか、模索したが、やはりないものなのだった。

「特殊能力なんてそうそうあるものじゃないよな。」

一人そうぼやいてみるが、まあ、何せ合格したのだ。もう関係ない話なのだ。

「さて、と。」

そうだ、これからは夢に見た高校生活が始まるのだ!

部活も頑張って、勉強も頑張って、いろんな恋だって目の当たりにできるかもしれないじゃないか!

そう自分でこれからの事に脳内で花を咲かせていると、ふと隣の桜の木の下で・・・



漫画やアニメ、ゲーム、ライトノベル、様々な媒体で俺が幾度も見てきた、あの光景が広がっていたのだ。



そう、それは桜の木の下の出来事だった。

一人の普通(に見える)の男子高校生と、少し気の弱そう(に見える)な女子高校生が、どうやら何やらしている様だった。

悪いことだと分かっていつつも、つい覗いてしまった。


「す、すいません。大丈夫ですか。」

二人はどうやらぶつかってしまったらしい。女子高校生が持っていた紙袋がばらけてしまう。

「す、すいませんでした。すぐに拾うので・・・」

と、女子高校生がばらけた紙袋を拾い上げようとしたとき、

「い、いえ、僕も手伝います。」

と、男子高校生も紙を拾い上げていく、

そうして最後の一枚を拾おうとしたときに、

「あっ・・・」

「あっ」

二人の手が偶然にも重なった。その形はまさにギャルゲーやアニメで見たそれだった。しかも背景は桜である。もうこれをラブコメと呼ばずしてなんだというのだ。


二人はしばらく黙った後、女子高校生は、おそらく本当に気が弱いのだろう、赤面して

「す、す、すいませんでしたぁぁぁぁぁぁぁああ」

と、走り去ってしまった。

と、男子高校生が何かを持って、

「あの、これ忘れていますよ~」

と、何かを握りしめて言っている。よく見るとそれは現在大人気の「熊のペーさん」のキーホルダーであった。どうやら走り去った時に落としてしまったのだろうが、彼女はそのまま走り去っていってしまった。

「まあ、合格しているみたいだし、入学してから渡せばいいか。」

彼はそのキーホルダーを自身のポケットにしまった。




「おいおい、嘘だろこれ。」

一人陰から見ていた俺は勝手に驚いていた。

「これどう見たって、ラブコメのあのシーンじゃないか。」

そう、数多のラブコメというラブコメを見てきた俺には見えてしまうのだ。


気弱そうな女子高校生と普通の男子高校生が春に出会い、忘れ物を届けたことがきっかけで・・・

いかん、妄想が広がるが、こういった展開は出会いが少ない気弱少女との出会いのフローチャートじゃないか!うそだろ、こんなの現実ではありえないと思っていたが・・・

「出逢い、だよな。この感じは。それもかなり綺麗なラブコメの・・・」

ふと、あの噂の、

「不束高校は、何か強大な力を持つバックがおり、特殊な能力がないと入学できないのではないか」

この言葉が思い出される。今までこんなのは嘘だとばかり思っていたが・・・

さすがにこんなラブコメ、普通の高校じゃ起きないだろう。

と、なると。もしかすると・・・

「まさか・・・本当にか・・・」

本当に、特殊な能力が存在するのかもしれない。そう思ったのだった。



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