0話 プロローグ
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友人とは・・・同じ考え方を持ったり、行動をともにしたり、いつも親しくつきあっている人。(goo辞書より引用)
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「おーい、俊哉、早くこっち来いよー」
俺の友人であり、本来の主人公である、赤山晁生、がわざとらしく大きく肩から腕を振っている。
ちなみに、今は集合写真を撮ろうとしているところだ。いつのだって?そんな野暮なことは答えないよ。
「わかってるって、ちょっと待ってくれよ、晁生」
俺もとりあえず大きく手を振ってみる。この時間が無駄だとか言うな、こういうのもありだと思うし、そんなに時間のことばっかり考えられる性質じゃないだけだ。
「じゃあ、とるよー、ほら俊哉もっと寄って、みんな映らないよ。」
母親が俺の腕をがっしり掴み、思いっきり引っ張る。こらこら、そんなに引っ張ったら制服が駄目になる。
そんなことも気にせずに引っ張り寄せられる、
「晁生ー、お母さん今緊張してるかなー!」
晁生のお母さんはとてもテンションが高いようだ。今もピョンピョン5センチ位跳ねている。
「大丈夫だよ・・・むしろ落ち着いてほしいくらい楽しそうだ。」
晁生も頭を抱えている。
「じゃあ、はい、チーズ!」
カシャ
友人、そう呼ぶにふさわしい俺と赤山晁生は仲がいい。
そして、この赤山晁生、俺からしてどう見ても(ラブコメ)の主人公なのだ。
ひねくれでも何でもない。本当にそう見える。
ルックスは少し良く、成績は中の中、性格は優しく、人情深い。こいつを本気で好きになった人たちを何人か見てきた。それくらいにはモテた。いや、モテキだったのだ。
そして、そのうえ、鈍感系男子なのだ。
さて、本来俺はこいつ、赤山晁生の友人Aくらいの立ち位置で、そして赤山晁生を中心とする(ラブコメ)みたいな物語が展開されるはずだが、はてさてどんな悪戯だろうか、今こうして話しているのは俺であり、この物語の主人公は俺になっている。
しかしながら、俺には(ラブコメ)らしきものはないし、はたまた赤山晁生の友人Aだ。
だからこれから、これも運命なんだろう。この期に及んで赤山晁生のラブコメを話していこうと思う。