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三匹の鬼 8 夕

3色目        『三匹の鬼 8・夕』


今日は文さんの退院日だ。


病院へ文さんを迎えに行った帰り道、二人で商店街のケーキ屋に寄り


家族へのお土産にケーキを買っていった。


「じゃあ、また明日ね」


「また明日」


文さんと別れて自宅へ向かう。


明日は行事がたくさんあるから今日は早めに寝ようかな・・・そんなことを


考えながら自宅へ戻るとインターホンを鳴らす。




ピンポーン   




ピンポーン



「・・・ん?」


おかしい。


誰も出てこないじゃないか。


もしかしてどこかへ出かけているのだろうか。


しかし玄関のドアは大きく開かれ、家の様子が世間様に丸見え状態に


なっている。


こんな状況のまま出かける奴がいるか?



「どうなってんだよ」



とりあえずドアを閉めて家の中へ。


玄関先には二人の靴が置いてあるし、どうやら家の中にはいるようだ。




「ただいまー」





階段下から2階へ向けて声を掛ける。


普段弟たちはこの時間、大抵2階の自室に籠っているため俺が帰らないと


夕飯の準備は何もできていないというのがしょっちゅうだ。


だから今日も2階にいるのだろうと思い声を掛けたのに、弟たちの声は珍しく


1階から聞こえた。




「おかえりー」



「おつかれ様だな、公覆兄」


「・・・?」





声が聞こえた方に向かって歩いていくと、二人は居間に敷いてある畳の上で


横になりぐったりしているではないか。


「どうした?」


俺の声に反応して二人は首だけをこちらに向ける。顔色は悪くないが・・・?


「・・・兄ちゃん・・・もっと早く帰ってきてくれよ」


少し怒ってる?雲長。


「何だ。お腹が空いてたいのか?だったら丁度ケーキを買ってきたから


これでも食べて・・・」


「いや、腹が減っている訳では無いのだ」


珍しく行儀の悪い子考。


「え?」


では二人は何故倒れたままなんだ?


「なんかさ・・・変な奴が来て」


「変な奴?」


「あぁ。とても変な奴だった・・・。雲長一人で1時間対応して、俺一人で


1時間対応して、二人で2時間対応したが・・・そいつは意味不明なことを4時間、


延々とこの家の玄関先で喋ってたんだ」



「何だそれ。押し売りか?」



軽い気持ちで答えると、二人は声を荒げて反論する。


「押し売りの方がましだよ!!」


「あいつは人間じゃない!!宇宙人か何かだ!!」


「・・・」



そこまで熱くならなくったって・・・。




「・・・うん、まあ二人が凄く疲れてるのは分かるけど、玄関だけは閉めような?」


箱を開けてケーキを取り出しながら宥める様に二人に話しかけてみると、


先程までの『怒』の感情は何処へ行ったのか突然二人は静かになる。




「・・・」



「・・・」





「・・・あれ?」



返事をしたくないのか、無視されたのか。



ケーキから目を離して二人を見ると大きな身体の弟二人は畳の上で目を瞑り


ぐっすりと寝ていた。



まるで子供だな





「変な来訪者の対応に疲れちゃったか」






俺はケーキを箱の中へ戻すと、足音を立てずに部屋を出て行き2階にある


部屋へ向かう。


とりあえず何か上に掛けてあげなければ・・・。




明日は大切な日だし、花婿の弟二人が風邪引いて式に欠席するなんて


格好悪すぎるもんな。






「・・・はぁ・・・。手の掛る奴らだ」







それでも俺の大切な弟たち。




俺は長男として、いつまでもお前たちを見守っていきたいと




思ってたりするんだぞ・・・。

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