表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/33

三匹の鬼 5

3色目        『三匹の鬼 5』


俺のお嫁さんになる人は、とても可愛くて清楚な女性だ。


女の子らしく長く伸ばされた髪の毛にチャームポイントの


青いカチューシャ。


女子高生とは思えないほどの豊満な胸・・・じゃなくて。


うん、とても素敵な人ってこと。


だけど少し抜けている所があるというか、おっちょこちょい・・・?


なのか、よく怪我をしては入退院を繰り返したりする不思議な人でもある。


まぁ、それを含めた上で、やはり俺は彼女のことが大好きだ。



彼女が好きな言葉は『幸せ』。



三姉妹がみんな一緒にこの町で生きていることが『幸せ』。


あの子たちと姉妹であることが『幸せ』。


俺のことを愛する『幸せ』。


彼女は毎日そう言っては俺に微笑んでくれる。



君ヶ主三姉妹の過去を掘り返すことになるが、


彼女の父親に当たる人は結構な遊び人だったらしく、今彼女と同じ家で


暮らす二人の妹さんと彼女は血の繋がった姉妹ではない。


そして二人の妹もまた、血の繋がらない子たちだ。


腹違いの姉妹三人が何故この名も無き町で暮らしているのか。


それは父親がこの町に彼女たちを捨てたから。


俺のお嫁さんが3歳、妹さんがそれぞれ2歳と1歳の時、一軒の大きな屋敷と


大金だけを置いて父親はどこかへ行ってしまったらしい。


母親は生まれた時から傍に居なかったので自分の母親の顔すら知らない彼女たちは


誰かに助けを求めることも出来ず、両親に捨てられた3人は仕方なくこの町で


暮らしていくことを決める。


それから2日ほど経ったある日、彼女たちの住む家に父親の知人だという一人の男が


訪れ、その日から彼女たちの面倒は全てその男と男の妻が見てくれるようになった。


訪れた男は俺の亡き親父のお兄さん(俺たちで言うところの伯父さん)で、


この町で道場を開いている元プロ格闘家。


未だに詳しいことを教えて貰ったことは無いが、伯父さんと君ヶ主家父は旧知の仲


らしく、君ヶ主家父が三姉妹をこの町に捨てたのも『○○(伯父さん)ならきっと


三人の面倒を見てくれると信じているから!!』だそうな。


そんなふざけた理由をメールで送ってきた君ヶ主家父とそれに対して怒る


こともせずあっさり用件を承諾した伯父さん。二人のお陰(?)で


君ヶ主家の三姉妹は両親不在の中、三人逞しく何事も無いまま健やかに立派な


女性として成長していったのである。


そんな特殊な生活を送ってきた彼女だからこそ人一倍『幸せ』という言葉に


思い入れが強いのかもしれない。




・・・いや、実はかなり思いが強く、この言葉に依存すらしている。



彼女の趣味は『幸せアイテム』の収集。


『幸せ』のペンダント、『幸福』を呼ぶパワーストーン、『幸せ』を招く猫の


置物などなど、『幸』という漢字がついている商品を見かければ友達に


お金を借りてでもその場で購入する『幸せ』依存症な彼女の今一番


大切にしているアイテムは、『幸せ』を呼ぶ印鑑。


四角い文鎮のような形で周りには龍の絵が掘られている手のひらサイズの


小さな印鑑で、彼女は肌身離さず持ち歩きたいという理由から印鑑の頭部にある


穴へ細いチェーンを通してネックレスとして毎日愛用している。



これのどこにそんな魅力を感じるのか俺にはさっぱりだが、彼女が『幸せ』なら


それでいい。



俺が望むのはそれだけだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ