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三匹の鬼 13

3色目        『三匹の鬼 13』


3人の息子が学校へ行ったのを見送ってから、二人そのままベッドへ寝転んだ。


3番目の息子を生んでからは一度もしなくなってしまい久しぶりに交わった


身体の激しさに最初は付いていけず、彼にリードをされていたが少しずつ昔の


感覚を思い出して慣れてきたので今度は私からリードする。


上に跨り自ら腰を振り乱して絞り上げれば、間もなく果てた彼の熱が内部に


広がっていく。


この時だけは、頭の中いっぱいに彼との楽しい思い出が滲み出てくる。


初めて会った日のこと、二人で逃走したあの頃のこと、お兄さんに頼って


この町へ移住してから直ぐに妊娠をしていることが分かったあの日、


仕事から足を洗うために家の庭に今まで使っていた


道具を倉庫に仕舞い二度と開けまいと鍵を閉めたあの時のことが頭の中いっぱいに


広がり、私の決心を鈍らせようとしていた。


ダメ、こんなことで揺るいではいけない。私は決めたんだ、私は・・・この人を殺す。


殺して、あの女を絶望させてやるんだ。




「・・・あっ・・・」


気が付くと彼と私の位置は逆転して、再び中に熱が流し込まれていた。


「ん・・・・・・」


瞼を閉じて快楽に身を委ねながら、右手を敷き布団の下へと忍び込ませ彼の方を見る。


老いたせいか彼の顔から疲労の色が窺え、とても隙だらけだ。


「・・・」


今しかない。


私は忍ばせていたダガーナイフを取り出し彼の心臓目掛けて突き刺した、


―・・・つもりだったのに、手には何も掴まれておらず変わりに私の心臓が存在


している場所に用意していたダガーナイフが一本、聳え立つ。


「ぁ・・・ぇ・・・」


眼球を震わせながら彼のほうを見上げる。


先程の疲労は何処へ行ったのか、普段と同じ寡黙で落ち着いた表情をした彼は、


何も言わずただこちらを見下ろしていた。


「・・・はっ・・・はっ・・・はっ・・・」


何か彼に言ってやりたいのに、口が言う事を聞かない。痛くて、苦しくて・・・


早く、早く


止めを・・・。


「ごめん」


「・・・・・・・・はっ・・・・・・・・ぁ・・・・・・」


「さよなら」


別れの挨拶と共に抜かれたダガーナイフ。


「ごふっ」



瞬間、全身に響き渡る痛みと急速に気道が塞がり呼吸困難に陥る。得体のしれない


ナニカが頭の先に徐々に侵食していき、気付いた時には口から大量の血液を吐きながら


私の意識は引っこ抜かれたコンセントの様に『ブチッ』と切断された。

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