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三匹の鬼 10-6

3色目        『三匹の鬼 10―6』


私の夢。


私は師範の愛人になりたいです。


そして奥さんと一緒に師範を朝から晩までお世話したいと思います。


それが私の夢です。



3年1組 君ヶ主 孟徳







「いいか、孟徳。半殺し何ていうのは美しくない」


「はい!」


「殺すなら一気だ。相手が苦しまずに止めを刺す、それこそが殺人の美しい姿だ」


「はい!」


「醜い殺人は?」


「愚か者の仕業!」


「美しい殺人は?」


「殺し屋の仕業!」


「よし。さすが孟徳だ」


「えへへ・・・」







ランララル、ランラルル。私の名前は君ヶ主 孟徳。現在この町で腹違いの


姉妹たちと一つ屋根の下で暮らしている小学3年生!


お姉ちゃんの名前は文台。小4にして既におっぱいがBカップという化け物。


妹の名前は玄徳。小学2年生で化け物。多分本当にあの子は人間じゃないん


だろうけど、


まぁいいや。私の心はとても寛大だから、あの子が人間の肉を主食にしようが文句は


言わないわ。


だって私も気に入らない奴が居たら、ついつい放課後に奇襲を掛けて始末したり


しちゃってるしね。おあいこだね!



私の好きな人は師範。


師範って言うのは父様に捨てられた私たち3人のことをずっと面倒見てくれている人で


私たち3姉妹にとって命の恩人。


師範が居なかったら私たちあのお屋敷で野垂れ死ぬところだったし、本当に心から


感謝しているの。


そして・・・そして、同じくらい・・・いーっぱい、愛しているの。


でも師範には奥さんがいるし奥さんを誰よりも愛してる師範の奥さんを始末ことは


出来ないから、私は泣く泣く愛人になることにした。それなのに・・・、


師範もおじさまも私に酷いことを言うの。






「え?」


「だからさ、孟徳よ。お前、次男坊と付き合ったらどうだ?」


「え?次男坊って・・・子考くんのこと?」


「そうだよ」


「・・・えー・・・、あの子やだぁ・・・」


「何で」


「ははは。子考は孟徳ちゃんのタイプじゃないのか」


「えぇ。その通りよ、おじさま。あんな毎日ケンカばっかりしてる男子なんて、


全然私の好みじゃないわ」


「何だよー酷い言われようだな、お前んところの次男坊」


「父親がこんなだからね。仕方ないよ」


「そんなっ!おじさまはいつも礼儀正しくてダンディズム、そして何より誰よりも


美しく殺人行為が出来る最高峰の元殺し屋さんなのよ?おじさまはとてもパーフェクトな


人よ」


「ははは、なんだかうれしいな・・・」


「私は本当のことを言っただけですわ」


「じゃあ孟徳は次男坊がどうなったら付き合ってもいいんだ?」


「兄さん、孟徳ちゃんを困らせるのはやめなよ」


「馬鹿野郎。お前んとこのイケてねー3兄弟の進路を心配して聞いてやってんだから、


静かにしてろ!」


「進路って・・・」


「もうっ!私本当にあの子のことなんか好きになりませんから!!私は


先生一筋なんですからねっ」


「愛されちまってんなー俺。でも悪いな孟徳、俺の一番は俺の奥様ただ一人だ!」


「愛人になれるよう日々努力いたしますわ!」


「それはどうかと思うよ・・・孟徳ちゃん」






あー・・・もう、思い出しただけでもムカついてきた―!!!プンスカプンプン!!


誰があんなガキと付き合うもんですか!!いつか師範に私の本気をぶつけてやるわ!!!


おっしゃああああああああああああああ!!!!!!心の中で叫びながら私は今日も


朝一で道場に向かって走り出す。早く玄徳を迎えに行かないと遅刻しちゃうわ!ランルルルー。




「あら」


「・・・あ」


あーん・・・。星占いの順位、今日は高かったのにぃぃぃ!!!


「おはようございます」


「おはよう、孟徳ちゃん」


最悪っ。まさかおばさんと鉢合わせするなんて


。・・・・・・はぁ、さよなら私の爽やかな朝。おはよう、灰色のモーニング。


「奇遇ねぇ。今日も玄徳ちゃんのお迎え?」


「はい」


「毎日毎日大変ね」


「いえ。全然そんなことないですよ?」


「大変って言えば・・・玄徳ちゃんのお食事は大丈夫なの?」


「・・・」


あー・・・始まったよ。


「え・・・えぇ。大丈夫ですよ?全然大丈夫ですから」


「あの子もね・・・。どうしてあんな食事しか取れないのかしらね」


「さぁ」


「あんなものしか食べなくて、それでも生きていけるなんて・・・不思議ね」


「ですね」


「でもこの町に住めて一番よかったのは、あの子よね」


「・・・え?」


「だってそうでしょ。同じ人間の肉を食べているのよ?他の・・・いえ、


普通の町でそんなことしたら大事件だし、殺人犯として捕まって人数が多いなら


いっそのこと死・・・」


「あのっ」


「え」


「私は・・・私たち姉妹は別に、妹の事を特別視なんかしていませんから」


「・・・そうなの?」


「はい」


「人肉よ?そんなものを食べている子を普通に妹として接することが出来るの?


いつかあなたたちも襲われるかもしれないのよ?」


「・・・っ・・・ぁ・・・」


「は?」


「別に、そんなことどうでもいいじゃないですか」


「・・・」


「何を食べようが、妹は妹です。私と、文台の、大切な妹です」


「・・・そう・・・」


「そうです」


「ふーん・・・」


「・・・」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・んあああああああああああ



ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ


あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ


あああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


!!!!!!!!!!うぜええええええええええええええええええええええええええ


ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ


ええええこのババア、マジでうぜええええええ!!!!!毎日毎日ネチネチネチネチと


よく同じことを聞けるな。


何度聞かれようが私たち3姉妹の気持は変わらないんだからテメェは黙ってればいい


だろうがよぉぉ。そんなに悔しいか、そんなに旦那が玄徳を愛でるのが


気に喰わないのか。


だったら面と向かって言えよ!!私に八つ当たりするのやめろ!本人に言わない限り、


ずっとあの二人はイチャイチャするんだよ!!愛し合ってるからな!!私だって師範と


イチャつきたいのに出来ないんだぞ?!お前だけが歯がゆい思いしてんじゃないの!


気付けよ、この自己中メンヘラ女!!


「・・・付きましたね」


「付いたわね」


「・・・」


「それじゃあね、孟徳ちゃん。玄徳ちゃんのこと、頑張ってね」


「・・・おばさまも、おじさまのこと、頑張ってくださいね」


「・・・」


「・・・」


睨み合う私とおばさん。そして二人揃って道場の扉を開ける。


中には今日も玄徳とおじさまが二人っきりで居た。


あーあ、また明日も私の朝は灰色なんだろうな・・・。





トゥロロロルー・・・トゥロロロルー・・・。


私、君ヶ主 孟徳。身体は子供、心は大人な


小学校3年生。


こんな私が師範と奥さんディープキスシーンを偶然目撃してしまい、


傷心状態の中で出会った弟塚 子考君のことを好きになるなんて・・・


この時の私は知る由も無かった。




・・・ま、それはどうでもいいんだけどね!

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