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三匹の鬼 10-1

3色目        『三匹の鬼 10―1』


俺の嫁さんがこんなに可愛いわけがある。


すまん、日本語おかしかった。


でもさー・・・今日の嫁さんはお姉ちゃまの結婚式だから


ドレスアップなんかしちゃって。


黒いジャンパースカートに薄ピンク色のフリフリブラウスを着た嫁さん、


最高!!!


体型を隠すために薄くて派手なドレスは着れないけど、髪飾りの大きな花が


とってもキュートだし、胸元のリボンも解きたくなるほど可愛い!


あー・・・やべぇ・・・。こりゃ今夜はオールナイトベットタイム行くか?


いや、行こうよ。果てるまでエロエロしちゃって、そのままできちゃった婚


狙っちゃうZO!


「・・・むすっ・・・」


「えっ・・・」


あれ?あれあれ嫁さん、なんだか怒っている?え、まさか俺今思っていたこと全部、


無意識のうちに喋っちゃったか???


「・・・嫁さん?」


「・・・何」


「どうしたのさ。折角のお姉さんの結婚式だっていうのに、なんか・・・こう・・・


顔色がよくないというか・・・」


「・・・」


「・・・怒っているよね?」


「怒ってるよ」


「・・・!!!!」


やっぱり、俺まずいことしちまったか!神聖な結婚式の直前に妄想しまくって


たのがまずかったのかぁぁぁぁ・・・!!!これはなんとかしなければ。


「嫁さん」


「あ?」


「これ、俺お手製の人肉ソーセージ。よかったら食べて」


「いらない」


「あ、じゃあよかったら俺の腕を直接食べて貰っても・・・」


「いらないって言ってんでしょ!!」


ひぎぃぃぃっっっ・・・・!!!こんなに怒ってる嫁さんの姿、初めてで・・・


感じちゃうっっ・・・。じゃなくて、じゃなくて!!・・・がぁーーーー!!!


何すれば嫁さんの機嫌治るのか全然わかんねー!!!抱くか?抱いて黙らせるか?


黙らせても意味ないか?意味ないよな!どーすんの、これ!?どーすん・・・


「・・・ごめん」


「へっ?」


「・・・なさい」


「・・・・・・え」


「・・・」


いきなり謝られ、そしていきなり抱きつかれた俺・弟塚 雲長(高校1年生)。


もう何が何だかわかりません。


「・・・雲ちゃんにあたっちゃ、ダメなのに・・・」


「嫁さん」


泣いている?声が少し擦れているじゃないか・・・。


「大丈夫だよ。俺は何に気にしてないからさ」


細い嫁さんの身体を抱きしめてそっと頭を撫でてあげれば、ヒステリックな


お姫様の気持も少しだけ落ち着いていく(ハズ)。


「・・・ん」


やっと落ち着きを取り戻した嫁さんの腕がギュッと俺のスーツを掴んじゃって・・・。


あぁ・・・やっぱ嫁さんは可愛いよなー。俺も早く嫁さんと結婚したい。子作りしたい。


「・・・何してんだ、お前ら」


シッッッット!!とんだ邪魔者が来やがった!!


「あ、子考君」


「何だよ兄貴。大好きな主様に見捨てられたのか?」


「残念だが、今日も俺と我が主は相も変わらずラブラブだ」


どうでもええがな・・・。


「子考君」


「ん?何かな妹君」


珍しく嫁さんが兄貴に話しかけた。


「さっきの奴、お姉ちゃんの部屋に行ったの?」


「さっきの奴って・・・、もしや寵愛氏のことか?」


「そう。あの糞女のこと」


「・・・」


「・・・」


嫁さんの発言に驚き、俺と兄貴は顔を見合わせる。


「く・・・糞女・・・ですか」


「そうよ」


「よ・・・嫁さん?いくらなんでもそういう言い方はまずいんじゃないか。


一応孟徳さんの知り合いだろ?」


「いや、親友だ」


「まじ?」


「・・・マジだ」


うーん・・・もしかして今、嫁さんは問題発言をしているのかい?


「親友だろうが何だろうが関係ない。あの女は糞よ、糞の中の糞。馬糞より糞な


糞女よ!!」


「・・・嫁さん・・・?」


何でそこまでムキになって・・・


「だってあの女は、私の知り合いを、利用しようとした」


「利用・・・?」


「妹君、それは一体っ・・・」


突如、兄貴の身体がゆっくりと前方に押し出される。


「・・・我が主・・・?」


見れば兄貴の後ろにはいつからいたのか嫁さんのお姉さん孟徳さんが立っていて、


兄貴の背中に抱きつき顔を埋めていた。


「・・・子考・・・」


普段の姿からは想像が出来ない位に弱々しい声を出す孟徳さんの姿に驚いていると、


俺の胸からゆっくりと嫁さんが離れていき、そしてお姉さんの方に向かって歩いていく。


そして兄貴の目の前で立ち止まると、嫁さんは口を開いた。


「お姉ちゃん、あいつと何を話していたの?」


「・・・」


「なんでこんな日にあいつ、うちに来たの?」


「・・・」


「また・・・また誰かを利用しようとしているの?!奉ちゃんの時みたいに」


「・・・違う・・・」


やっと口を開く孟徳さん。だがやはりいつもの威厳が無い・・・。


「・・・違うのよ・・・玄徳・・・」


「・・・お姉・・・ちゃん?」


「我が主・・・?」


「・・・」


俺たちの視線が孟徳さんに集中する。


だが未だに兄貴の後ろで俯いたままの孟徳さん。今、彼女がどんな顔をしているのか、


俺たち3人は誰一人読み取ることが出来なかった。


「・・・本初は・・・文台に会いにきたの」


「文ちゃんに?何で!」


「・・・それは・・・それはっ・・・」





「孟徳ちゃん」


「っ!」


その声に反応して、孟徳さんが顔を上げる。


声の主は・・・うちの長男で、嫁さんのもう一人のお姉さん・文台さんと


今日結婚する相手、公覆兄ちゃん。


「・・・公覆さん・・・」


「・・・」


「・・・・・・あの・・・あの貴方は」


「来ているんだね」


「・・・」


「そうだよね」


「・・・姉の・・・文台の部屋に・・・」


「・・・ありがとう」


そう言って、白いタキシードを身に纏った兄ちゃんは2階へ向かって走り出した。


それと同時に、孟徳さんが力尽きたかのように床に座り込む。


「我が主?!」


「お姉ちゃん?」


兄貴と嫁さんが孟徳さんの方へ駆け寄る。俺も続いて駆け寄ってみれば、


いつも強気で勝気な孟徳さんが妹や俺がいるこの場所で、大粒の涙を流して


泣いていた。


「うっ・・・うぅっ・・・うぅぅぅっっ・・・」


「・・・主っ・・・!」


孟徳さんを抱きしめる兄貴。


俺は嫁さんの横に行き、そっと手を掴む。


「・・・雲ちゃん・・・」


「嫁さん・・・俺の手、しっかりと掴んでな」


「・・・うん」


何が起きたのかよく分からないけど、それでもせめて俺たちだけは


落ち着いていなくちゃいけない。そう思い、俺と嫁さんは力強く手を


握り合っていた。







その直後、大きな物音と共に悲鳴が家の中に響き渡る。






悲鳴を上げたのは寵愛さん。





物音の原因は・・・うちの兄貴が・・・






2階の窓から飛び降りたため・・・。

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