強欲な両親と真実の愛を貫く旦那様の板挟みになったら
嫁いでしまえば、実家は口出しできない?
いいえ、そんなこともありません。
金で買われた花嫁でない限り、実家はいくらでも口を出してきます。
結婚したら婚家の者?
いいえ、違います。
実家が口出しするな?
するでしょう。娘というのは、実家の資産です。
結婚は貸し与えただけです。
虐待されていた娘が嫁に行った先で溺愛されて、実家が潰されても連座しないのは、他の家の後見を受けているからです。
何が言いたいかというと、真実の愛とかで、夫に蔑ろにされている妻は実家が助けられるものです。
では、親が強欲で夫のお陰で甘い汁を啜っている場合は?
両方とも縁を切りましょう。
やり方は――
あ。旦那様の叫び声が聞こえますね。
旦那様とは同じ館で生活しています。主人の部屋に旦那様。奥様の部屋に真実の愛のお相手。
そして、私は物置に。完全に虐げられた可哀想な妻、ですね。
使用人たちの走る音がしますが、私は物置で静かにしています。
バタバタしたせいか、その日は夕方まで食事が来ませんでした。
食事は野菜クズが浮いている水っぽいスープに黒パン。使用人の食事の残りを水でかさ増ししたスープと使用人すら食べない古くなったパンということです。
食事を持ってきた使用人が言うことには、真実の愛のお相手が亡くなったそうです。
それでも、私の待遇は変わらず、旦那様はまた真実の愛のお相手を見付けたそうです。
そして、またお相手に死なれます。
旦那様はまた真実の愛のお相手を連れて来ます。
もう三人目です。
使用人たちは気味悪がっています。
二人のお相手の死亡。
三人目もまた旦那様のお隣りで亡くなり、遂には、使用人たちは旦那様を化け物として訴えました。
普通なら貴族が平民を殺しても、訴え出ても何も問題にはなりません。妻殺しもそうです。
ですが、化け物とあっては、国も動かざるをえませんでした。
旦那様は吸血鬼として処刑されたそうです。
私? 私は哀れな被害者として扱われました。
衰弱が酷いからと、実家ではなく、療養施設に入れられました。
強欲な両親と真実の愛を貫く旦那様。
可哀想な娘が私に助けを求めて来ました。あの娘は今頃、出入りの商人と暮らして幸せになっているはずです。
さて、次の依頼者は誰でしょうか?
また真実の愛の犠牲者だと良いですね。身代わりがすぐに見付かる真実の愛の、犠牲者が。
そうすれば、使用人が訴え出なければ、致死量まで何人でも血が吸えますから。




