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18 子爵令息の執着



 いつの間にか近くにいることが当たり前になって。それがとても居心地良くて。どうしよう。


 デヴィッドはソフィーのことを想っている自分を持て余している。ソフィーが自分を好いてくれてるんじゃないか、両想いなんじゃないかと思うけれど、自信がない。


 大体あんなに可愛くて優しくて勉強も運動も出来て友達も多いソフィーがデヴィッドの様なパッとしない男を選ぶはずがない。他にいくらでも素敵な相手を選べる人なんだから、平凡な子爵子息の自分には勿体無い人だ。


 初恋だから余計に混乱しているのかもしれない。恋をするのが怖かったのに、あっという間に好きになっていた。


 自分に自信がないのに、他の男と話すソフィーを見るのがつらい。嫉妬でイライラしてしまう。恋人でもないのに、そんな風に思う資格なんてないのに。

 最近男爵令息に話しかけられている姿をよく見る。コリンと言うその男爵令息はデヴィッドよりも見た目が良くて、ソフィーとも自然に話しているように思う。


――俺よりずっとお似合いなんだよな。

 なんとも言えない気持ちで二人を見ていると悲しくなってきたので、授業が終わって特に用事もないし帰る用意をして廊下に出た。


「デヴィッド様、一緒に帰りませんか?」

「あれ? ソフィー嬢。話してる途中じゃなかったの? 大丈夫?」


 盛り上がってるように見えたのに会話を切り上げたんだろうか。


「もう話し終わったので大丈夫ですよ。それよりデヴィッド様、今日お時間ありますか?」

「うん、何も予定はないけど」

「それなら友人に教えてもらったお店があるんです。パフェが美味しいらしいんですが、一緒に行きませんか?」


 デヴィッドは 甘い物が好きだ。好きなソフィーと好きなパフェ。最高の組み合わせだと思う。喜んで返事をして二人で店へ向かう。


 その店のパフェは本当に美味しくて大満足で二人は帰り道を歩いていた。


「あの、デヴィッド様?」

「ん? どうしたの?」


 少し顔を赤らめたソフィーが上目遣いでデヴィッドを見上げる。可愛すぎて心臓が止まりそうだ。


「デヴィッド様はこうやって私に誘われて迷惑ではありませんか? なんだかいつも私が付き合っていただいているので不安になって……」


 不安そうなソフィーを見て慌てた。

 そういえばいつも誘ってもらってばかりだ。デヴィッドは自信がないので声をかけていいのか悩んでしまって、ソフィーを誘うことはほぼ無い。一方的な関係に思われてしまったのかもしれない。


「そ、そんなことないよ! 俺いつも自分からは誘えなくて。でもソフィー嬢と出かけるの嬉しいと思ってる!」

「デヴィッド様」


 安心したのかソフィーは安堵の息をついた。

 それを見て気持ちが上がったり下がったり忙しいデヴィッドは、言うつもりのなかったことまでどんどん口にする。


「だ、大体ソフィー嬢みたいに可愛くて素敵な子に誘われて嫌な訳ないよ! もうほんと、ソフィー嬢と付き合えないかなぁ、両想いだといいなとか思ってるくらいだし」

「デヴィッド様」

「だってソフィー嬢は俺の初恋だし、誰かと話してる姿を見るだけで妬いてるし」

「デヴィッド様?」

「今日だってコリンと話しててお似合いに見えて。俺みたいなその辺の平凡な男とは釣り合わないだろうなって思ってたし」

「あの……」

「あーっ! もう、なんでソフィー嬢はこんなに俺の心を鷲掴みにするんだよ! 毎日毎日、結婚したいとか子供は何人欲しいとか妄想が止まらないって!」


 デヴィッドの名前を呼んでいたソフィーは、最後には絶句しているようだった。

 余計なことまで全て口にしてしまったデヴィッドは、自分が何を言ったのか気付いて顔を真っ青にする。


「あ、あの、これは、その……」


 どうしていいのかわからずにソフィーを見ると、ソフィーは輝かんばかりの笑顔でデヴィッドに抱きついた。

 柔らかくて驚いたし、咄嗟のことに体が動かせない。


「デヴィッド様、嬉しい! 私も大好きです!」

「えっ!」

「パニックになってるところも好きです。告白を自分からしようか悩んでいたくらい好きです。結婚してください!」


 高嶺の花にプロポーズされてしまった。

 デヴィッドは運を使い果たした自信があった。




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