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第 8話 ボブの帰郷道中

ボブにとって、柔術整復の部分には感謝してないのがポイントです。しかしいろいろと世話になったのも事実で非常に複雑な心境なんですよ。

 クエスト中の滑落事故のリハビリで世話になったうえに、豪勢な送別会まで開いてもらって、故郷への乗合馬車に揺られつつも心はまだマリーのいた森の家に置いてきている。


 ギルドのある街の馬車ターミナルでボブの故郷へ向かう乗合馬車に乗り換えるのだが、幹線を往来する乗合馬車は乗り換えの接続を考慮したダイヤで運行されるが、このような地方都市の各方面への接続地点はそのダイヤのしわ寄せが一点に集束していて、丸一日待ちとかもザラだ。


 この交通の接点である街には各方面の文物が集まる。同時にそこに接続される各方面の土産物もここの馬車ターミナルの待合室の隣の土産物屋で手に入る。しかし、あの薬草の花穂も、ポットの濃いハーブティーも、目に効くケーキも、キュケオンもここの土産物屋では売ってなかった。あんぱんだけは特にあの方面の土産物というわけでなく普通にあったが、マリーにもらったあんぱんとは根本的に何かが違う。


 荷物から、別れ際にもらったあんぱんの袋を取り出し、愛おしげに眺める。ふと袋を開けて口をつけたくなる衝動にかられるが、封を開けたら消費してしまうことになるので今は我慢。


 そして、マリーが「こちらも渡しておきます。苦痛に耐えられないとき飲むといいわ」と渡してくれたキュケオンならぬ缶チューハイ。フラグ立ってるので飲めない。「NO! ESCAPE!!」冒険者としての勘が全力でアラートを鳴らしている。飲んだら絶対に碌な事にならない。


 「マリーからの餞別は他人には配布できないけど、土産は今回はいっか。


 土産物屋を後にし、宿屋を探すが見つからない。雨が降り出したときに急いで駆け込んだ庇は地下への階段が続いており、その下からは歪んだドラムの高速なビーツが聞こえてきた。その音に誘われるように下に行き、ライブハウスに入ろうとすると、門番に止められた。


「あなたは仲間(ガバ)ではないからここから中には入れない。」


確かにボブはガバでもロックでもなくカントリーだ。門番の言う通りガバではない。仕方なくこのライブハウスを後にする


 しかしこの雨どうしたものかなと考えながらとりあえず馬車ターミナルに庇と庇をぬって濡れるのを最小にして移動してたら、目的地ゆきの乗り合い馬車が停車中だったので乗り込む。この馬車の終点がボブの故郷だ。


 そこに着けばマリーとの出会いもよくある新しい出会いと別れの一つとして色褪せて最後には記憶からも消え去ってしまうのだろう。でも甘酸っぱい二人で過ごした期間は確かにこの世界の片隅に存在したんだ。

ともかくボブ、そんなもの土産物屋にあるわけないし、探してたら捕まるぞw

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