第 7話 ボブの送別会
タイトルと中身にかなり差があります。実質的にマリーの聖女時代のフラッシュバックがメインです。
ボブがくにに戻るというので、ごちそうを用意した。メインディッシュのしゃぶしゃぶに、デザートにアイスとケーキとあんぱん。
ポットいっぱいのハーブティーと、あとせっかくのお祝いの席だから少しながらもキュケオーンを洒落込む。
追放されて以来豪華な食卓というものを囲んだことがなかったので、自分で用意したというのに図らずも聖女時代の記憶がフラッシュバックしてきた。
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暗闇に地平線まで続く松明の炎が、まるで血の川のように揺らめく。わたくしは聖女のドレスに身を包み、クロノスの大鎌を握り、静寂を切り裂く滝へと向かう。神官たちが黒いローブに身を隠し、首から下げたオリーブの首飾りが月光に怪しく光る。
聖地の水源地から1つめ。人里離れた最奥の滝へ、この行列を率いて儀式を執り行うために夜間登山を行う。儀式においては殺生を忌むため虫除けは最低限の薬草だけを使う。
山道とは言え毎年のことなので整備されており、引火して山火事の心配はない。岩や草はあるけれども、登山道の辺りには木は無く、これが整備された登山道であることを主張する。
清流を交差しながら上流へ上流へと一行は進んでゆく。行列の松明も消えゆき、たどり着いたのは滝と呼ぶにはあまりに小さいが段差のある川と呼ぶには明らかに滝である、落差5メートルほどの小さな滝があり、滝壺から川が流れているが辺りは岩場となっており、人が集まることができる。
滝の近くに小さな洞窟があり中には女神像が鎮座している。
「ॐ जलबिंबाय विद्महे नीलपुरुषाय धीमहि तन्नो वरुणः प्रचोदयात् 」
呻くようにしぼりだされた詠唱が、松明の爆ぜる音と混じり、異界の門を開くような不協和音を響かせ、ようよう白くなりゆく山際少し明かりて視界を確保する。
一団がこの岩場のさらに外に分け入り自生する雑穀に鎌を振り下ろし静かに刈りとり私のもとへ束にして届ける。それを詠唱とともに女神像に捧げ、そこに携わったすべての人から女神への感謝を伝え、また同時に女神から彼らへの加護を祈る。
前回捧げられた穀物の束が黒紫に染まっているのをお下げして、参拝者の安全を確保しつつキュケオンを振る舞う。
夜明け前の寝不足ハイの信徒たちはこれでよく、神と会話すると言われている。これが歴代の聖女としての務め。
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これが「人心を惑わす悪魔の術」と呼ばれて追放されちゃった。でもこれは正式な聖女の努め。先代も先々代もこの務めを放棄して王妃として贅沢三昧の自堕落な日々を送って国が乱れた。
わたくしがこのいにしえの儀礼を復興させたのだけど、それを王太子は快く思ってなかったその結果追放になっちゃったのだけど。
謎の詠唱は、謎で不気味に見れればそれでオッケーです。幸い多くの翻訳エンジンでも訳せません。(でも、LLMさんに頼めば一発ですから気になる方はコピペしたLLMに翻訳を頼みましょう。)




